大注目 篠田桃江の絵画を買取致しました!
篠田桃紅~万年少女の墨の戯れ~
書家で抽象画家の篠田桃紅(しのだとうこう)氏は、2016年現在で御年103歳を迎えました。
日本での活躍のみならず、ニューヨーク・タイムズ紙の紙面を飾ったり、ニューズウィークの「世界が尊敬する日本人100人」に選出されるなど、世界を股にかけて第一線で活躍し続ける桃紅氏の魅力について触れてみたいと思います。
画才の目覚め
桃紅氏が初めて筆を握ったのは、5歳のお正月。きょうだい並んで父の書斎で書き初めに並んだのがはじまりで、以来幼い頃から墨に親しみ、甲骨文字の抽象的な造形美に心奪われ、ほとんど独学で書を学んだそうです。
桃紅の名は、父が『桃紅李白薔薇紫』という中国の古い詩格の句から取り、三月生まれの桃紅氏にちなんで雅号として名付けました。
はじめは書家としての道を歩み出しましたが、結婚を望む父に反発するように、戦後まもなくアメリカはニューヨークへ渡り、そこで書の域を超えて文字としての約束・かたちから離れた水墨の抽象画という独自の表現方法を確立されました。“自由の国”で桃紅氏の創作意欲はさらに飛躍し、よりいっそう大きな作品を作るようにもなりました。『自由こそ創造』と、感じたままにアレンジを加え、作品を世に残してきました。
桃紅のこだわり
桃紅氏は常にきものを身に纏い、作品を製作する際もきものに身を包んでいるほど桃紅氏ときものは切っても切り離せません。幼い頃から母のきものの着こなしを身近にみて、色彩感覚や美意識が芽生えたそうで、その研ぎ澄まされたセンスできものをゆったりと粋に着こなしています。
桃紅氏は毎日書を書き、さらに座って書くことはせず、立ったまま全身の動きを筆先にのせて製作しています。描きたいものがあるから描くのではなく、描いているから次の作品が生まれてくる。現在の作品が呼び水となり、導かれるままにいざなわれ、作品となるそうです。桃紅氏は「生きるということは、やりつづけるということ。」と延べ、墨とともにきものに対しても日々続けるその真摯な姿勢が伺えるのです。
自然体の美しさ
移ろいゆくものに対して真理を希求する桃紅氏。彼女は、移ろいゆくもの自体に“美”を見出し、それこそが自然体だと説いています。
作品でよく使われる銀泥なども、歳月が経つにつれて仕上がった当初のものとは違った様子になったとしても、それは自然に委ねた結果であり、自然体が故の作品なのです。
また桃紅氏が使っている筆の中で一番好きな筆は、筆匠が毛の長さと管の大きさの割合を間違えた筆で、桃紅氏すら扱いに苦戦するものだそう。桃紅氏が当初心で思い描くものとは違う線が引けたとしても、それこそが“また良し”となるそうです。
桃紅氏は毎日を自然体で生きるということを望まれ、目に見えるものばかりではなく、心の中のもの、動きをもかたちとして表したいと語り、流れの中の一瞬を切り取り、捨ててもいいと思われるものを省いていったものが桃紅氏の線となるのです。
100歳を超えてもなお書の域を超え、水墨による抽象絵画に意欲を燃やす桃紅氏。不必要なものを削ぎ落とし、必要なもののみを捉えて墨に落とし込み表現を続ける桃紅氏はまさに無垢そのもの、“万年少女”なのかもしれません。穢れなき感性をそのままに感じることのできる作品は、ぜひ直接の眼で観てみたいものです。
さいごに
現代アートという枠組みにひとくくりにしてしまうのは、作家の本意ではないにしろ、現代アートの波は確実にきているようです。「よくわからない」という感想では勿体ないくらい、その芸術作品を目の前にすれば、不思議としっくりくるものがあるのです。お好きな方にはたまらない現代アート、私達、八光堂は多数取り扱いをしております。もしお持ちの作品のお値段が気になるという場合は無料査定していますので、お気軽にご利用下さいませ。