パウル・クレー

パウル・クレー

パウル・クレーの作品は、温かな色使いと哲学の香り、そしてどこかかわいらしいタッチの作風で見る者の心をつかんで離さない。 クレーは、1879年スイスの首都ベルン郊外の小さな町で生まれ、一歳から高校を卒業するまでの間、ベルン市内で過ごした。父親は音楽教師であり、母親は声楽家であった。 幼いころから絵を描くことが好きであったクレーは、祖母から洋画の手ほどきを受けていた。一方で、子供のころからヴァイオリンも習い、子供の時分にオーケストラ・メンバーとなるほどの腕前であったという。クレーは終生音楽を愛し、ヴァイオリンを弾き続けた。クレーの絵に音楽の影響が多分にみられるのはこのためであろう。また、文学にも関心が高く、詩を作ったり、日記を書き記したりしている。 高校卒業後、クレーはミュンヘンの美術学校に入学し、洋画の勉強をしている。そして、1906年にはピアニストのリリーと結婚した。クレーには収入がなかったので、リリーが代わりにピアノ教師として働き、クレーは家事を担当するという新婚生活であった。

旅行先で鮮やかな色彩に目覚める

1914年にクレーはチュニジアに旅行へ行き、チュニジアのきらめくような陽射しや気候、風土に触れ、鮮やかな色彩に目覚めた。これにより、クレーの作風は大きく発展した。そして、2年間に及ぶ兵役の後、クレーは次第に洋画家として世間に認められるようになり、1921年から10年間はバウハウスで教べんをとっている。ここでの講義や絵画理論の研究を通して、クレーの芸術観や絵画はいっそう深化していく。

深遠な絵画の世界をピュアな心でさらっと表現

クレーの絵は、どこかはかなげで詩情豊かである。あるときは、物語の一片を思わせる広がりのある世界を描き、あるときは四辺の色の連なりをひたすらに並べて見る者を豊かな色彩の哲学の世界へと連れ込む。また、晩年には皮膚硬化症で絵を描くのが困難であったにも関わらず、線描で数々の天使の姿を描きつけており、その透き通った作品には心動かされずにはいられない。 深遠な絵画の世界をピュアな心でさらっと表現する。クレーの作品にはそんな魅力が溢れている。

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