フランシスコ・デ・ゴヤ

フランシスコ・デ・ゴヤ

フランシスコ・デ・ゴヤは、スペインの北東部に生まれる。14歳のときに絵画の修業を開始し、洋画家として、28歳のときに王立タペストリー工場でタペストリーの下絵を描くようになる。その後、40歳代でカルロス4世の首席宮廷画家となりスペインで最も力のある画家として重きをなすが、不治の病に侵され聴力を失ってしまう。

印象深く美しいゴヤの絵画

はじめは牧歌的で、泰平の世での生活を楽しむ貴族や庶民、マハと呼ばれる小粋な若い女性達を描いていた。マハを描いたものとしては、裸のマハと着衣のマハが有名である。いずれの絵画も同じ構図、姿態を描いたもので、一方は裸、一方は着衣である。微笑みながら見る者をじっと見つめるかのような視線は、印象深く、密やかにこちらに語りかけてくるかのようである。裸のマハは、暗闇に白く浮かび上がった肌がしっとりと美しく、ピンク色の頬は健康的でつややかである。姿態の曲線美も素晴らしい。着衣のマハは、当時スペインで流行したトルコ風の衣装を身に着けており、金色や白色、ピンク、茶色、黒などの配色が美しい。

一転して暗い印象の作品に

スペインにナポレオンが侵略し、国内の平和が乱れ、混乱に陥ると、ゴヤの画風は一転して暗いものとなる。戦争を題材とした絵画をいくつも描き、その惨禍の凄まじさ、陰惨さと民衆の悲劇を描き残した。また、闘牛を題材にした絵も描いており、闘牛の華やかさと同時に陰鬱な死の光景も表現している。 洋画において非常に暗く陰鬱な表現のシリーズとして、ゴヤが住んだ別荘の壁に描き残した壁画のシリーズがあり、俗に「黒い絵」と呼ばれている。この中で強烈な印象を放っているのが、「わが子を喰らうサトルゥヌス」である。真っ黒な背景を背に、痩せ衰えたサトルゥヌスが赤い血をしたたらせ、白目をむき出してわが子を喰らう様子がおどろおどろしく描かれている。 ゴヤは美しさとともに人間の影の部分にもスポットを当て、様々な断面から人間の在り様を描いた洋画家といえる。

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