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中沢弘光

中沢弘光

明治から昭和初期にかけて活躍した洋画家、中沢弘光。東京美術学校在学中から早くも頭角を表しており、その才能は早いうちから開花しております。25歳の時に既に、傑作「非水像」を作成しております。油彩画ながらも色彩の使用をあえて拒否したこのモノクロの作品で、美術界に一石を投じました。彼は白馬会や光風会の創立にも参加しており、同世代の芸術家達との交流も頻繁に行なっておりました。ヨーロッパの留学経験があり、これが彼の画家人生に大きな影響を与えています。西洋絵画のメソッドをしっかり受け継いでおり、また卓越したデッサン力を持つ彼の油彩画は、写実性と神秘性が同時に備わっている優れたものです。宗教画にも造形が深く、旧藩士の生まれという名家の生まれの日本人ながらも、描いてきた作品は西洋絵画の影響を大きく受けているものが非常に多いです。とはいってもやはり日本の生まれ。観音をモチーフとした傑作思い出は、日本文化と西洋文化が高いレベルで融合しています。宗教画的な要素を持ちながらも、キリスト教ではなく仏教の観音がモチーフ。西洋画家が描く宗教画とは全く異質な空気感を醸し出している稀有な作品です。人物をモチーフとした作品も多いのですが、風景画も優れたものを数多く残しています。春の海などは、初期の代表作であるおもいで同様、モノクロの油彩画ながらも、自然の迫力を強く感じられる作品です。非常に高い画力を持った画家ですが、単に写実性が高いというだけではなく、モチーフの内面に迫った作風のものが多いです。中沢弘光は、日本の文化と、西洋文化が共に育んだ天才と言って良いかも知れません。また戦時中に描いた作品では、その時代の影響が強く見て取れます。非常に感性が柔軟であったからこそ、日本文化・西洋文化時代といった様々なものの影響をしっかり受け止め、それを作品に昇華する事が出来たのです。あらゆるものへの真摯な眼差しを感じられる中沢弘光の作品群を見ていると、こちらも純粋な気持ちになれるものです。

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