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大樋焼[四代]_勘兵衛

勘兵衛

 大樋焼四代勘兵衛は、中興の祖とも言われる五代勘兵衛と並ぶ名工とされています。前田家十一代治脩、十二代斉広の二代に渡って使えましたが、治脩候より火入の細工を申し付かり、御前で細工し、その出来栄え良しとして銀二枚と細工道具を拝領するなど、その腕前に関するエピソードは数多く残されています。もともと藩付の焼物師ではありましたが、後には改めて二人扶持を拝受するなど、腕前に比例して身分も上がっていったようです。五代勘兵衛が才能を開花させることができたのも、四代がこうして地盤を築いたからだったと言われています。
 作風は、初代の復活が見られます。薄手ながら素朴な力強さを持った大樋焼らしい作行きです。また、新たな技法の取り込みにも積極的でした。赤味の強い飴釉に、白くポツリと咲いた梅(花)文の茶碗、慶事を表す若松をあしらった松文茶碗は、白泥を用いて絵を描いた大樋焼では初の試みでした。松文茶碗は砂釉を使っており、楽家五代宗入の「カセ釉」を思わせる、独特の砂肌を描き出します。さらに砂肌で有名な作に飴釉胴乱形水指があります。胴乱の皮のゆがみを意匠に取り込み、非常に生き生きとしたユニークな表情となっています。他にもデフォルメした海老で香合を作るなど、現代にも通用する造形の美意識を持っていたといえます。
 その業績が四代勘兵衛か五代勘兵衛に帰されるのか資料によって異なり判然としないものの、大樋焼黒釉の創始、年頭の茶のための大福茶碗の献上などがあります。いずれにしても、四代・五代の両者によって、大樋焼は新たな世界を切り開いたことに違いなく、その意味で四代勘兵衛の足跡が軽んじられることはありません。隠居する2年前に二人扶持となったことを受けて、高さ六尺、胴六尺五寸という巨大な獅子像を作り、藩主斉広候に献上しています。老いてますます盛んといったところでしょうか、四代目の生き様をよく表しているエピソードです。

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