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古書 安東聖空(あんどうせいくう)
 日本古来の「ひらがな」を観賞物へと昇華させた書家、骨董買取・安東聖空。
安東聖空は近藤雪竹に漢字を学び、かなは、平安朝の代表的古筆「粘葉本和漢朗詠集」に範を求め独習し、大正14年桑田笹舟らと正筆会を結成し「かなとうた」を創刊しました。第二次世界大戦後は「正筆」を主宰し、かな書道の普及につくしました。彼は日本古来のひらがなという文字の形式の優美さが極められていた平安時代への回帰を志し、和歌やかな文字の研究をしていきました。そして安東聖空は、日本古来の独自文字「ひらがな」を鑑賞物として展覧会に出展出来るものにする運動を始めました。彼の研究は、現代のかな書道の基礎として広まっていきました。

多くの人の目に留まり楽しまれることを意識した作品

安東聖空が研究した大字かなは、自分だけが鑑賞する小字かなとは対照的な存在で、多くの人の目に留まり楽しまれることを意識した作品でした。昭和35年に書かれた「万葉のうた 2曲屏風」は流れるような筆遣いで「みなそこのたまさへさやに見つべくも照る月夜かもよのふけぬれば」という歌が書かれています。安東聖空が大字かなで書いたこの作品は、彼の代表作とも呼べるものであり、この作品を発表した翌年、安東聖空は日本芸術院賞を受賞しています。これは大字かなという一つの芸術作品が世の中に認められたという証であり、安東聖空が先駆者となり実践した大字かな研究の成果と言えるでしょう。

まるで生物のごとく脈動しているように感じる黒の文字

日本の鑑賞物として有名なのは浮世絵ですが、安東聖空が研究した大字かなもそれに似た雰囲気を持った作品であると感じます。鑑賞物ということを意識して筆を走らせた結果なのか、大字かなは自然の生物を描いたような息吹さえ感じる作品となっています。白の上に描かれた黒の文字が、まるで何かの生物のように脈動しているように感じるのです。安東聖空が目指した、多くの人の目に映される鑑賞物としての大字かなには、何か浮世絵のような絵画と通じるものがあるのでしょう。流れるような筆の一筆一筆が、安東聖空の大字かなに対する熱い思いを書き表すように、それまで読み物としてしか意識されていなかった文字を世に絵画と同じような芸術として広めていき、視覚のみで楽しめるものとして安東聖空は「描いた」のです。

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