古書 市河米庵

清水公照

 骨董買取・市河米庵(いちかわべいあん)
 市河米庵は幼い頃から儒者であった父、市河寛斎に薫育を受け、林述斎、柴野栗山を師と仰ぎ、朱子学と詩文を学びました。書ははじめ持明院流を習いましたが、心は次第に唐様書道に傾き、宋の米芾(べいふつ)を慕うようになります。そして25歳のときに長崎へ遊学し、来舶していた清人の胡兆新に書法を学びました。小さい頃より様々な人間から教育を受けた市河米庵は、宋の時代の書家を好み米庵流を創作していく事になります。得意なものは楷書、隷書とし、寛政11年20歳で書塾、小山林堂を開きます。和泉橋藤堂候の西門前に屋敷を構えた頃には門人が5000人に達するほどの書塾となり、徳山毛利、津藤堂、鯖江間部、尾張徳川等の大名への指南もしています。市河米庵は研究家でもあり、唐晋書画の蒐蔵や文房清玩にも凝っていました。また、煎茶を嗜んでおり松井釣古の主だった加賀屋清兵衛に楓川亭と命名しています。生前は書塾の門弟に貴人も多く、その書風も大流行したが、没後には急激に廃れてしまいました。市河米庵は死後、貫名海屋・巻菱湖と共に「幕末三筆」と謳われ、その死を惜しまれたといわれています。長幅・横幅・扁額等の形状で分けた書式「略可法」を始めに後世に有益になる著書を数々残しています。

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