掛軸 後藤順一

現代の日本画家・後藤順一。草花、風景を静謐な筆使いで鮮やかな色彩で描く事に長けた日本画家です。京都市立芸術大学を卒業後、フランス美術賞パリ展やシェル美術賞展といった海外展覧会への出品も多いです。日本画でありながら、旧来の常識に捕われる事の無い、非常に伸びやかな作風が印象的です。 院展での受賞歴多数。外務大臣賞受賞など、その経歴は華々しいものです。現在は、後進に教える一方で、下田義寛を師として学ぶ身でもあります。後藤順一の画道はまだまだ、その道の半ばと言ってよいでしょう。 代表作の雨後は、抽象的な所が多分にある、とても独特な作品です。全面の草花の奥に、水面があるという、一応は現実的な構図でありながらも、その表現の仕方はやや抽象的。水面の描写は決して写実的ではないものの、写実的以上の現実性を持って、「水」というものを表現しています。寒牡丹といった作品にも表れているとおり、後藤順一は鮮やかに描かれたメインのモチーフと、抽象的に描かれた余白の使い方の両立のさせ方が非常に上手いです。この余白使いの巧みさは、日本画というジャンルに一つの可能性を提示させたという点で、大いに評価すべき点です。

赤という色彩が強い存在感

後藤順一の多くの作品では、赤という色彩が強い存在感を持っています。もちろん日本画において、この色は重要な色の1つである事は間違えない事です。しかし後藤順一はさらにこの色を重要視しているようにみえます。地上が常に赤々と煌めく太陽に大きく影響されるように、後藤順一の作品においても眩しいほどの鮮やかな赤い色彩の花に支配を受けているかのように読み取れます。ようやく60歳になったばかりの後藤順一。まだまだ画家としては若く、これからも多くの可能性を日本画界に提示していくことでしょう。現在進行形で作品を描き続けている画家なだけに、美術界での評価はしっかりと定まっては居ません。 しかし日本美術会において、重要な人物の1人として未来に名を残すことは確実でしょう。

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