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掛軸 石踊達哉

石踊達哉 秋草

戦後を生きる現代の掛軸画家、石踊達哉。第二次世界大戦が終わった1945年、彼は旧・満州にて生まれます。18歳まで鹿児島で育ち、1970年に東京芸術大学大学院終了。1976年の春季創画展に出品し、春季展賞を受賞します。彼の活躍は目覚ましく、国内のみにとどまらず海外にも進出していきます。フランス(パリとニース)イタリア(スペロ)中国(北京)などでも精力的に作品を発表していきます。 1998年に瀬戸内寂聴現代語訳「源氏物語」(講談社)の54ページから構成される装画を担当し、その画集は類を見ない程のベストセラーになります。石踊達哉の描く優美な世界は、世間を圧巻した源氏ブームの火付け役になります。2007年には、世界遺産である金閣寺方丈の杉戸絵と客殿格天井画を制作しました。伝統的な花鳥風月を、現代の新しい感覚によって流麗な作品へと昇華させる作風は、「平成淋派 」と呼ばれるようになり、高い評価を得ました。石踊達哉の「日本画でしか表現する事の出来ないものを通して初めて、国際性を持つ美が生まれる」という信念から、古典の伝承や単なる模倣とは一線を画した作品を産み出していきます。彼の作品に、「秋野」というものがあります。秋の野原に咲く代表的な草花、「桔梗」「南天」「荻」「女郎花」。日本の1年の中で一番美しい季節である秋の風景です。白い荻が小さな丘を淡く彩っています。それとは対照的に深い紅色の紅葉と南天は見物です。満月の姿が金泥の背景に輝きを添え、夏の終わりを静かに告げています。野原の草花も、山の木々も、すべて錦の衣をまとって、この上なく鮮やかなのですが自然の素晴らしさと儚さに少し淋しい気持ちにもさせられます。石踊達哉の描く作品は、日本画特有な感性や技法を最大限に生かしながらも、それでいて日本画の枠を越えた美の境地へと私たちをいざないます。彼は21世紀になった今も、日本画家のトップランナーとして、止まることなく走り続けています。

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