掛軸 工藤甲人

工藤甲人

幻想的な筆遣いで浮遊感と温かみのある作品を多く描いていった掛軸画家が、工藤甲人です。繊細な筆遣いと、その独特の世界観はまさに唯一無二の世界観を作り出しており、新しい風を日本画界に吹き込みました。そんな、工藤甲人は青森県弘前市出身です。幼少の頃から絵画に触れる機会も多く、自らも日本画家としての道を選択することになります。そして、美術の基礎を学ぶために川端画学校日本画科に入学します。そこで、様々な絵画の勉強をした後、卒業。福田豊四郎に師事をして、よりその技術を研磨していきます。その才能は早くに発揮されており、1951年には、第1回新制作協会日本画部新作家賞を受賞しています。 この受賞をキッカケにした工藤甲人は、その後にも様々な賞を受賞していくことになります。1963年神奈川県立近代美術館賞を受賞したり、1982年には美術文化振興協会賞を受賞、さらに1989年には勲四等旭日小綬章受章など日本画家として、非常に名誉ある賞を数々手に入れているのです。そんな工藤甲人の作品の特徴は、自然界のものを上手に捉えているところでしょう。 非常に繊細なタッチと写実力で、独特の世界観を生み出します。単色の岩絵具を使い、色面を大きく取ることで、装飾的に感じるような構図作りをしていることでも有名で、その技法が工藤甲人の作品の醍醐味でもあります。「月下鳴虫」は、その工藤の作品の中でもより妖艶であり、不思議な感覚にさせてくれる秀作です。ぼんやりと月明かりを中心に集め、そこに飛び回るコオロギと草を描くシンプルな作品です。ぼんやりとした秋の夜の一場面でありながら、浮遊感のある心が休まる素晴らしいタッチと構図が独特です。掛軸買取においても、工藤甲人の作品は非常に高く評価されています。勿論、その作品の中にも非常に高価買取のものもあります。地元青森での評価も高く弘前市名誉市民としても、表彰されています。工藤甲人は、自らの夢を芸術に投影させていった、ロマンティックな画家だったのではないでしょうか。

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