日本画 松田杏亭

松田杏亭 遊鯉図

松田杏亭は1887年に生まれた日本画家です。数々の作品を手がけてきた松田杏亭なのですが、代表と言われる作品は鯉を描く作品です。花鳥図なども得意としてきましたが、その描写力に優れた鯉を描く作品は多くの人々の心を清冽な心にします。そんな松田杏亭は愛知県の出身で、本名は錠太郎となります。画家として大成を夢見た松田杏亭は、初期の頃は同郷であり名実ともに高かった中央画壇の重人物であった織田杏斎に南画を学んで行きます。繊細な筆遣いや南北合法の絵画方法を基礎から学び、その後の活動に大きな影響を与えています。ここで学び、さらに高い技術とステージで活躍したいと感じた松田杏亭は上京、池上秀畝に師事をし、さらに技術に研磨を加えていったのです。この二人の師は松田杏亭にとって多大な影響を与える人物でしたが、基本的に南北の風景画や花鳥図を多く描く人物として有名でした。しかし、松田杏亭はその精神を持ち合せながら鯉の美しさに心魅かれ、絵画のモチーフとして生涯描き続ける覚悟を決めています。そんな鯉を描く作品は数多くあります。「遊鯉図」では、白く清純な色彩の鯉と、淡く紅白を基調とする鯉の2匹が描かれた作品です。 手前の鯉が大きく描かれ、全体の構図に立体感を感じさせます。そのさりげない色の配置だけでなく、繊細な鱗に至まで、まさに松田杏亭らしい描写力で描かれる優雅で甘美な作品になっています。また「錦魚」では、鯉では無く小さな金魚が描かれます。美しく、淡い紅白の色合いで思い思いの方向へ動き回る金魚たちが、とても活き活きした空気感を作り出し、全体に動きのある躍動感溢れる作品になっています。また、綿密な描写で描かれる水草の緑と金魚の赤の補色の対比も立体感を生み出しており、可愛らしいだけでないメリハリの効いた松田杏亭ならではの秀作となっているのです。 画人として、文化人との交流も深かった松田杏亭は織田杏逸・波多野一岳・狩野梅斎らと親しいこともあり、様々な活動にも精力的に参加しました。鯉の松田杏亭と呼ばれ、中央画壇の中心人物として活躍をした実績は、今も日本の美術界に大きな功績を残しているのです。

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