日本画 渡辺省亭

渡辺省亭 雪中牡丹に雀

渡辺省亭は1851年に生まれた日本画家です。江戸の神田で生まれ、明治期から大正期にかけて活躍を広げた日本の画家として知られています。斬新なモチーフで鬼才と呼ばれ、洋風の表現を自分なりに表現し取り入れて行った花鳥図を多く描いていたことでも有名です。画壇に固執することはせず、独特なタッチで描かれるその自由度に人々は魅了されていきました。出版業界での活躍も目覚ましく、挿絵を中心に手がけ、画壇との交流をあまりせず、多くの文化人との関係を楽しんでいたことでも知られています。そんな渡辺省亭ですが、13歳の頃にい牛込にあった質屋に奉公に出されます。しかし、どうしてもその仕事になれることができなかった渡辺省亭は、結果的に絵ばかりを描いて過ごすようになってきて、断られてしまうことになります。しかし、本格的に絵画の勉強ができるようになった渡辺省亭は、16歳で容斎の師事をします。数多くの大家を輩出している塾でしたが、その厳しさは随一で入門してからの3年間は筆すら握らせてもらえない状態でした。楷書やカナなどを臨書する毎日を送ると言う、一見退屈で苦しい修行ともとれる内容なのですが、この修練が本当に大きく大切なことであり、後の渡辺省亭はこれなくして存在していなかったとさえ言われる筆遣いの基礎を学んだのです。その後も数々の厳しい修練に耐え抜き、類い稀なる写生術も手に入れた渡辺省亭は師であった容斎の得意とする歴史画を描き続けるだけでなく、花鳥図を基本とした新しい境地を発掘することになっていくのです。そんな渡辺省亭の作品の中のひとつに、1898年に描かれた「雪中牡丹に雀」があります。まるで本物のような写実性と淡く優雅な色使いで描かれる雪中牡丹に、その花を覗く可愛らしい雀の姿が描かれたこの作品。冬の雪の中に咲く牡丹の華やかさが全体の構図をしっかり作り上げ、雀との大きさのバランスも絶妙に描かれている、シンプルながら美しい作品です。日本画の新しい可能性を持つ、広い可能性を感じる秀作となっているのです。印象派との交流もあった渡辺省亭は、現在海外でも非常に高い評価を得ており、数々の美術館に所蔵されています。日本だけでなく世界でも活躍した渡辺省亭。伝統的な雰囲気は残しながら、常に枠を超えた作品を描き続けた天才画家であったのです。

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