日本画 青山亘幹

日本画 青山亘幹

青山亘幹 先笄

 日本画の青山亘幹(あおやまのぶよし)は終戦の年1945年(昭和20年)に神奈川県で生まれた画家で、舞妓を中心とする美人画を数多く世に出している存命中の画家です。1965年(昭和40年)に東京藝術大学に入学し、大学院を修了する年に画壇の登竜門として知られる「シェル美術賞」で1等を受賞して以来、数多くの賞を受賞しています。2002年(平成14年)に上野松坂屋で開かれた「花と舞妓」と題した個展では、「初春」を発表しています。舞妓の横顔を見せる構図の中に、髪の黒と着物の黒が落ち着いた気品を湛えており、対照的に白い顔の肌色と紅い唇が際立っていて、舞妓だけが持っている日本美人の特徴を捉えています。
 1994年(平成6年)から4年がかりで描かれた「舞妓」は岩絵の具による金箔・四曲1隻の屏風絵で、立ち居姿の舞妓が示すさりげない仕草を捉えているのですが、わずかな手の仕草を表現して見せているのは「舞妓が見せる瞬間の美しさ」表現しているのでしょう。四曲のどの舞妓も全く同一の着物と飾り物を身に着けて描かれており、本来なら単調で見る者を飽きさせてしまう作法ですが、わずかな手の動きの違いだけで舞妓が示す一瞬の凛とした美しさを見せてくれていて決して見飽きることがありません。そこには青山亘幹がかつて京都で始めて舞妓を見たときに感じた美的感動が込められているようでもあります。1996年(平成8年)の「裸婦」では、背景に淡白な墨色を配した浴衣が架け降ろされており、その前に横座りに足を伸ばして左腕で上半身を支えている裸婦が背中を見せているのですが、その柔らかな肌の色や体の線は見るものの目を捉えて離しません。西洋画で描かれている同様の描写と比べて見れば、日本女性だけが持つ繊細でしなやかな美しさが際立って溢れているようです。かくも美しい女性を描けるのは何故でしょう。
 青木亘幹の心の中に入り込んで来て彼を捉えて離さないもの、さりげない仕草のなかに見せる愛おしいもの、それは普遍的な女性への賛美となって彼に筆を取らしめるのではないでしょうか。今後もますますの活躍を期待したいものです。

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