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楽焼[十三代]_惺入

楽焼[十三代]_惺入

 惺入は歴代でもっとも熱心に取り組んだと評されるほど、幅広く、そしてさまざまな技法の研究と研鑽に身をささげました。明治時代から昭和初期という戦争が度重なる激動の時代に生き、特に晩年は物資不足に見舞われるなど決して恵まれた環境ではありませんでした。最晩年には後嗣が出征し、研究も作陶もままならないうちに逝去したとありますが、終生茶の湯と作陶に向けた情熱には、ただ頭の下がる思いです。
 作風は古来の楽家をよく踏まえ、自身が大変真面目な性格であり、非常に謹直と言われています。また、書画や漢学、和歌などにも通じており、高い学識を持っていたそうです。しかし、真面目だったとはいえ古来の技法や作風を守ったのではなく、織部焼、志野焼、唐津焼など広く国焼全般の技法をよく研究し、作品に活かしています。歴代が編み出してきた箆目や造形の工夫も取り入れており、その作品は一見すると何気ない真面目さが表にあるように見えますが、その懐は広く深く、趣深いものがあります。釉薬の研究では、さまざまな鉱石を採取しては試し、そのうちから新たな技法を確立していきます。
 楽焼といえば、上部と下部で厚さの異なる釉を塗り、焼き上がりで上から下へと幕が降りるように景色を描く「幕釉」が有名ですが、惺入はさらに蛇蝎釉を合わせ、趣ある風景を描き出す技法を編み出しています。蛇蝎釉とは釉薬が織り成す蛇の鱗のような網目状の模様のことで、唐津焼のものが有名です。惺入はこの蛇蝎釉を効果的に使う技法を編み出しました。白い蛇蝎釉が有名で、黒茶碗 銘「荒磯」がそのもっとも代表的な作品です。また、干支にちなんだ作品、御題の茶碗なども惺入に始まっています。干支に因む作品では、動物を象った香合が大変に可愛らしい作品として伝世しています。また、茶道研究誌『茶道せゝらぎ』を創刊するなど、茶の湯の普及拡大と技法の伝世のための活動も熱心に行いました。

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