洋画 吉原治良

吉原治良

半世紀に渡り、前衛美術を追求し続けた希代の洋画家が、吉原治良です。現代美術に通ずるその斬新な作品は、ものの本質を具象化しその世界観を自らの解釈で描かれています。円を描いた作品が多く、様々な様式で不思議な世界を表現し続けていました。そんな吉原治良は、1905年に大阪の油問屋の御曹司としてこの世に生を受けます。裕福であった家庭環境も手伝い、絵画などに触れる機会が多く、芸術的刺激を常に受けながら生きて行きました。北野中学校在学中には油絵を初めており、関西学院高等商業学部卒業し、渡仏など精力的に絵画への道を摸索し続けて行きます。魚をモチーフに数々の作品を作り続けていた吉原治良は、敬愛している藤田嗣治への評価を得る機会を手に入れます。しかし、その時の藤田嗣治の言葉が吉原治良の画家人生を変化させます。悪い出来では無いが、とにかく独自性に欠ける…。この言葉が彼を奮い立たせることとなります。二科会の抽象画家たちとの「九室会」などを結成し、抽象画を極めて行く活動を始めます。しかし、戦時中などは前衛的な作風は奥を潜めるざるえず、写生に没頭します。しかし、戦後吉原製油社長としながらも、新しい抽象画を描き始めて行きます。そこから、数々の功績を残すのですが、ファッションショーの舞台装置、画塾の創立など、前衛美術を極めんとするための活動に拍車がかかります。個展などを開催すると、アンフォルメルの主導者で美術評論家のミシェル・タピエらから賞賛を受けるなど、活動を活発化させていきます。そして、国内外で数々の名誉を手に入れる「円」シリーズ。漢字のへんなどもモチーフにした、抽象画も発表しては、海外で高い評価を受け続けて行ったのです。世界的に大きな影響力を持っていた美術運動体「具体」などを主宰していましたが、死とともに活動も終了。しかし、前衛的であり現代美術家としての功績は今でも、世界中で評価を受け続けています。洋画界に旋風を巻き起こし、存在そのものが芸術であった吉原治良。彼の目に写り続けた独自性こそが、個性というものだったのです。

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