古書 磯田湖龍斎

古書 磯田湖龍斎

磯田湖龍斎

 独自の美人画を確立させた浮世絵師、骨董買取・磯田湖龍斎。
 磯田湖龍斎は、明和から天明の時期に活躍した浮世絵師です。事実や詳細はわかっていませんが、江戸時代初期に活躍した浮世絵師、西村重長の弟子であったとされています。しかし、磯田湖龍斎は主に美人画で名を馳せた浮世絵師、鈴木春信の影響を多大に受けており、それは彼の人生の中で、長い間浮世絵師としての絵画創作に反映されていたようです。磯田湖龍斎にとって鈴木春信の影響力は凄まじく、彼はその影響から一歩踏み出すのに時間がかかったようです。しかし、彼は「湖龍斎」と名を改めてからその影響を脱し、美人画を描くに当たって独自の画風の確立に成功しました。
 磯田湖龍斎は、大人気のシリーズとなった「雛形若菜の初模様」という作品を作り上げました。この作品は吉原の遊女に新しい着物を着せる、という現代で言うところのファッション誌のようなもので、現代の女性の服に対する関心同様、当時の女性達から大きな評価を得ることになりました。この「雛形若菜の初模様」シリーズは、90点以上の作品となり、磯田湖龍斎の代表作として名高い作品となったのです。磯田湖龍斎の浮世絵は非常に線が細かく、細部まで繊細な筆遣いで描かれています。特に女性を描いた美人画は、彼の代表作である「雛形若菜の初模様」のシリーズにも見られる通り、女性の表情や仕草だけでなく、着物の模様や女性の身体の動きに合わせて布が波打つように動く様子を忠実に表現しています。
 磯田湖龍斎の浮世絵は高い評価を受け、天明2年に法橋という絵師にとって非常に名誉ある地位を与えられました。法橋位を得た晩年は肉筆画に専念し、最後には確かな己の作風を手に入れ、絵師としての成功者に上り詰めました。磯田湖龍斎の成功には、「雛形若菜の初模様」のように、当時の人々が求める絵のジャンルを見極める洞察力という才能があったに違いありません。

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