表千家[十三代] 無盡宗左 即中斎

 昭和初期に代を継いだ十三代、即中斎は「現代茶道の祖」を呼ばれています。明治に生まれ、大正デモクラシーの自由な空気を吸い、戦中の重苦しい時代を生き抜き、戦後見事に現代茶道を築き上げた即中斎は、先代と同様、3つの時代を茶と共に生きた人物でした。
 即中斎が現代に残した最大の功績は、同門会の設立、昭和24年の表千家不審菴の財団法人化が挙げられます。同門会は戦中の昭和17年に発足、戦後の昭和40年までに全国化し、昭和50年に社団法人化しました。表千家不審菴自体を財団法人化したことについては、当時相当の煩悶があったと伝えられています。しかし、これにより組織が現代社会の実情に即したものになり、よりスムーズに茶の道を広める結果となりました。古式に囚われずに組織を刷新した即中斎の英断であったというべきでしょう。この二つの組織が両輪となり、現在の表千家の体制が整えられたことになります。 また、海外への展開にも力を入れており、戦中に京城、戦後にはハワイ、アメリカへと意欲的に展開したのも即中斎の功績とされています。

心地よい緊張感を感じる作品

 即中斎は戦後の貧窮と混乱の中でも茶の道を失わず、むしろこの時代なればこそを広めんとした剛毅の人でした。戦争の傷跡の癒えない日本各地の社寺仏閣を回り献茶の儀を数多く催しています。その回数も非常に多く、一時は半年に100回を越えることもありました。また、自身は古流を一途に貫いた厳しい人物でしたが、周囲にそれを感じさせない柔らかな茶を点てたそうです。戦中戦後の厳しい時代を生きた人なればこその茶の道であったのかもしれません。
 即中斎の好みは、時代が近いこともあり大変多く残されています。炉や丸卓、棚なども古流と現代様が美しく融合しており、見事な品が少なくありません。好みのさまを言葉にするならば、潔さ、緊張感。しかし、その緊張感は息が詰まるものではなく、むしろ心地よいものです。現代茶道に触れる人ならば、一度は手にしたい品々かもしれません。

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