裏千家[八代] 一燈宗室 又玄斎

一燈宗室 又玄斎

短命な宗匠が続いた裏千家でしたが、八代・一燈宗室にして三代ぶりに在世の長い宗匠となりました。その代継ぎの間、新たな取り組みを多数行い、茶の湯の発展に努めました。後にその功績により裏千家中興の祖と呼ばれています。 裏千家先代の最々斎は実兄でした。妻を娶る前に夭逝したため跡取りもなく、請われるままに15歳で裏千家宗匠を継ぎ、宗室を名乗るようになります。若い一燈宗室に茶の湯の手ほどきをしたのは14歳年上の兄、如心斎。後年、不仲であったとか互いにライバル視していたとのうわさもありますが、肝胆相照らす仲だったと思ってよいでしょう。ともに禅の修業に熱心であり、やがて新たな茶道伝授法である「七事式」を編み出します。これは町人文化が成熟する中で、多くの町人がを学ぶようになり、大勢の門人に効率よく茶の湯を教えるために編み出されました。この七事式は遊戯的な性格もあり、これにより楽しく茶の湯を学ぶことができるようになりました。また、一燈宗室の功績に、茶の湯の点前作法から道具の使い方までを記した『浜之真砂』を著したことが挙げられます。それまで、千家では茶の湯の作法は秘伝・口伝とされており、高弟が茶の湯について書き残すことはあっても宗匠が書くことはありませんでした。その禁を破って宗匠で書物を著したのが一燈宗室だったのです。しかし、こうした取り組みが結実し、裏千家はかつてないほどの隆盛を誇るようになります。

古流の侘びを湛え、かつ非常に重厚感を備えた作品の数々

一燈宗室は、四代・仙叟宗室、十一代・玄々斎に並んで好み物を多く伝えています。茶の湯を町人文化に迎合させるかのように広めた一燈宗室でしたが、だからこそというべきか好み物は非常に古流に準じたものを残しています。その品々は、古流の侘びを湛え、かつ非常に重厚感を備え、歴代宗匠の中ではもっとも“重い”感があります。 もっとも有名なのは独特の形をした龍頭茶入、漆塗りの臼水指などですが、家紋の替紋の「つぼつぼ」をよく好み、つぼつぼをあしらった棗、香合の写しも多く残されています。

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