鴨居玲

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鴨居玲は石川県金沢市に生まれた日本人洋画家です。金沢市立金沢美術工芸専門学校に入学し、宮本三郎を師事しています。彼の心の底にある人間社会への闇は、深いものでありその感性から不気味ながらも天才的な絵画技術で多くの名作をこの世に残しています。特に、社会の闇を描く作品を描く彼は具象画の登竜門と言われる安井賞を1964年に受賞しています。自身の新たな可能性を求め続けた鴨居玲は、度々海外へ行き、画家としての才能を疑い葛藤し続けました。鴨居の描く人間達は、悲しみと絶望、そして世に悲観した表情をしており見るものを幻想的ながら深い闇へ誘います。しかし、その繊細でありながら美しい絵画の技術はみるものを魅了し、脳裏に焼き付けられるような不思議な魅力を持っているのです。そして、その鴨居の傑作ともいえる作品が1982年に描かれた自画像「1982年 私」です。その絵を一目見てしまった瞬間に強烈な不安や恐怖に襲われてしまう作品ながら、苦しみの後に待つ明るい光を求める希望をも感じさせる問題作です。魂を素手で抉り出されるようなインパクトを持つ作品を多く残す鴨居玲の、苦しむ自分を最大限表現しているこの作品は衝撃意外の何ものでもありません。描けない自分に対する恐怖、狂気、苦しみ、全ての不を自身で背負い描かれる自画像は、キャンパスの鮮烈な白さが皮肉にも亡霊達をより鮮明に映し出しているのです。様々な名誉ある賞に輝きながらも、描けずキャンパスに向かうことすら恐怖を感じていた鴨居は、度々自殺未遂を繰り返しています。画家としての晩期には何枚もの首つりの作品を描いていたと言う彼は、結果的に自身も自殺という形で生涯を終えています。酒に溺れてみたり、子供のように笑いはしゃいでみたりと人間的に憎めないキャラクターであったといわれる鴨居玲ですが、画家としての評価が高まるにつれ、自身の感情を極限状態まで持って行き制作に向かうその姿勢はもはや修羅でした。繊細な人間性と、絶望を描き続けた鴨居玲の作品は日本人の洋画家界のおいて、決して外すことのできない秀逸な作品ばかりです。永遠に芸術と戦いつづけ、芸術の奴隷となっていたような人物だったのかもしれません。

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