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有元利夫(ありもととしお)
昭和の洋画家、有元利夫。日本の古仏、ルネサンス期の芸術やバロック音楽など、絵画に限らず様式美、古典的な美に対してインスピレーションを受けた作風が特徴的です。特にピエロ・デッラ・フランチェスカの影響を受けており、東京芸術大学の卒業制作では「私にとってのピエロ・デッラ・フランチェスカ」という10点の連作を描き上げました。この作品は大学が買い上げたということからも若き日の彼の才能がうかがえるエピソードです。その後、電通に就職してデザイナーとして働く傍ら個展を開催。30歳で退職、創作活動に専念してから38歳という若さで亡くなるまで、10年にも満たない活動期間の間で画壇に強烈なインパクトを与えた画家なのです。
画家として創作活動を本格化してから2年、1978年に「花降る日」が若手画家の登竜門的位置にある安井賞特別賞を受賞しました。その象徴的かつ啓示的、しかし、至福感がありながらどこか寂しさも感じさせます。彼の画風や、前述したように絵画に限らず古典的な芸術からインスピレーションを受けているからでしょう。その後も「室内楽」で24回安井賞を受賞しており、その実力は本物であるということをうかがわせます。
彼の作品はクラシックやバロック音楽の楽曲からタイトルが付けられているものも多いです。音楽から着想を得た彼の作品達からはクラシカルな旋律が聴こえてくるようです。音楽から見えた風景を絵画という形で具象化し、オリジナリティ溢れる作品として人々を魅了する、非常に優れた画家なのです。
これらの作品の大半は岩絵具や顔料を使用して制作。生涯において執筆されたタブローは400点未満。その大半は女神的なモチーフを描いており、古典的で宗教的なモチーフも感じられます。リコーダーを持った「ささやかな時間」では、嬉しそうな表情をした人物が描かれています。これが「本人をモチーフとしている」と言われるように、純粋で素朴な彼の人間性がすべての作品に表れているのです。

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