浮田克躬

浮田克躬 北欧早春

 浮田克躬は東京生まれの洋画家です。神奈川県の茅ヶ崎で育ちましたが、集団行動に馴染むことができず不登校になり、学校に行かない時は自らが大好きであった絵を描きながら過ごしていました。1939年に見た聖戦美術展で感動して画家を志すようになっています。生涯に渡り、多くの名作を残した浮田克躬ですが、その中心は具象画が多く、日本を代表する洋画家として活躍し続けていました。北海道やヨーロッパの風景を多く描いていた浮田克躬の代表的な作品と言えば「北欧早春」ではないでしょうか。赤い屋根が連なる、北欧の集落が描かれたどこか懐かしくも、優しい気持ちにさせてくれる作品です。独特なタッチは具象画の代表的な作家と呼ばれていただけあり、優美で豪快、しかも繊細さも忘れておらず際立った存在感を醸し出しています。多くの作品にもいえますが、褐色を主張する構築性が浮田克躬の作品の持ち味であり、接真感のうちに繊細で鋭さの感じることのできる作品群は見るものを飽きさせることがありません。
 浮田克躬は東京美術学校油画科に入学しており、安井曾太郎に教えを受けています。この美術学校に入選した後なのですが、彼の描く「集荷場」が1950年の新制作派協会第4回展に入選しており、ここから浮田克躬の画家としてのキャリアがスタートしました。日展で「山手の路地」が初入選し、その後も連続で出品をしています。浮田克躬の作品は風景画が多いのですが、どれも人の心を掴み、我々日本人の琴線に触れるような構図が特徴です。おそらく、その背景には彼の“北の風景シリーズ”が大きく影響しているのではないでしょうか。「自分の周囲を描くことから始めよう。」と書き出しているこのシリーズなのですが、結果的に8年間続けられ、彼のその後の絵画人生に、多きな影響を及ぼす企画となりました。その後もブラジル政府よりコメンダドール・オフィシャル章受賞、改組第20回目展で「海風の館」が内閣総理大臣賞を受賞しています。彼の描く世界観は多くの人達に認められ、様々な栄誉ある章を受賞しています。幼少時代の辛い思い出を肥にしてしまい、自らの才能をここまで開花させた芸術家はどれほどいるでしょうか?59歳という若さでこの世を去った浮田克躬ですが、彼の残した功績は日本美術界に多大なる影響を与えたのです。

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