香木の査定ポイントについて
香木の買取価格は、様々な要素によって左右されます。下表では、大まかな査定ポイントをまとめています。
項目 |
高くなりやすい要因 |
産地 |
・特定の産地の品であること
・特にベトナム産の香木、その中でも伽羅
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保存状態 |
・温度、湿度、直射日光を避けて保管されていること
・カビや虫食いがないこと
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重量 |
・重いこと
・特に伽羅は、重量と質量が重要
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箱の有無 |
・購入時の箱や香包などの付属品が揃っていること
・有名作家の彫刻などの場合は共箱があること
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証明書の有無 |
・鑑定書や証明書、極めなどがあること
・特に伽羅や沈香のような希少な香木の場合に重要
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下記にて、詳細を解説いたします。
産地
産地を特定することは、香木の価値を判断する上で重要な要素となります。
香木は、主に東南アジアで産出されますが、産地によって香りの質や希少性が異なります。 特に、ベトナム産の香木は特に良質とされ、その中でも伽羅は特別高値で取引される傾向があります。
保存状態
保存状態(カビや虫食いなどがないか)どうかも、査定の重要なポイントです。
香木は、温度や湿度、直射日光 によって品質が劣化する可能性があります。
長期間保管されていた香木であっても、適切に保存されていれば 高額査定につながる可能性があります。
重量
香木は、一般的に重量が重いほど高価になる傾向があります。
特に、沈香の中でも良質とされる伽羅は、その質量と保存状態によって査定額が大きく変動します。
箱の有無
香木を購入した際の箱や香包などの付属品は、査定額に影響を与える可能性があります。
特に、老舗香木店の箱、有名作家の彫刻作品などの場合は、共箱があることでその価値を証明することができます。
証明書の有無
香木、特に伽羅や沈香といった希少な香木には、鑑定書や証明書、極めなどが付いている場合があります。
これらは、香木の品質や出自を保証するものとして、査定額を大きく左右する可能性があります。
証明書がある場合は、必ず査定の際に提示しましょう。
なお、下記の記事では、香木の買取価格の決め方や、伽羅・沈香・白檀の買取相場について詳細に解説しております。買取に興味がおありでしたら、ぜひご覧ください。
香木はなぜ高い?価格の決め方と伽羅・沈香・白壇の買取相場を解説!
買取価格が高額になりにくい例
以下のような香木は、買取価格が高額になりにくい場合があります。
状態の悪い香木
カビが生えていたり、虫食いがあったりする香木は、買取価格が下がる可能性があります。
香りの弱い香木
香木の香りは、時間経過とともに薄れることがあります。香りが弱い香木は、買取価格が低くなる傾向があります。
見た目に反して軽い香木や、形が悪い香木
見た目は大きいが軽い香木などは、表面が樹脂化していても、中まで樹脂化がされておらず樹脂の質量(密度)が低い可能性があります。よって、大きさのわりに買取価格が低くなる傾向があります。
また、中が空洞や隙間が多い場合などは、数珠や角割など加工して使用するのが難しく、用途が限られてきてしまうため、買取価格が安くなってしまう場合があります。
そのほか、香木には偽物が多いという事情もあります。香木の買取において、偽物は当然ながら見抜かれてしまうため、真贋を見分けておく必要があります。
下記の記事で、本物と偽物の見分け方を解説しておりますので、不安な方はご一読ください。
香木には偽物が多い?本物と偽物の見分け方と買取相場を解説!
香木とは?
香木とは、良い香りのする木のことで、特定の樹木の一部を指します。主に沈香、伽羅、白檀の3種類に分けられます。香木は、焚くことでその香りを楽しむ嗜好品として古くから用いられています。
下表は代表的な香木について情報をまとめたものです。
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概要 |
香り |
用途 |
その他 |
伽羅 |
沈香の最高級品。ベトナムのごく一部の地域で、長期間熟成されたもの。 |
芳醇で甘く独特。「六国五味」で分類。 |
香道での鑑賞、高級香料。 |
非常に希少で高価。偽物が多い。 |
沈香 |
ジンチョウゲ科の樹脂沈着したもの。傷や病気で生成される。 |
深く独特な香り。伽羅同様、「六国五味」で分類される。 |
香道、漢方薬、お香。 |
絶滅危惧種。比重や熟成度で価値変動。 |
白檀 |
ビャクダン科の芯に精油。インド原産。 |
甘く爽やかで穏やか。常温でも芳香。 |
お香、香水、仏具、扇子。 |
外気に触れると香りが薄れる。インド産が最高級。 |
下記では、伽羅・沈香・白檀について、より詳しく解説いたします。
伽羅(きゃら)
定義
伽羅は、沈香の中でも特に良質で、最高級とされるものを指します。
樹脂化し上質な伽羅になるには数十年から百年以上かかるとされております。
また他の沈香とは異なり、ベトナムのごく限られた地域のみで産出されるため、非常に希少価値が高い香木です。
香り
非常に芳醇で甘く、独特の香りを放つとされます。
樹脂の量が多く、熟成度が高いほど香りが良いと評価されます。
伽羅の香りは、「六国五味」という分類で、産地によって異なる香りの特徴を持つとされています。
用途
香道において、その香りを鑑賞するために用いられる。
香炉で焚いて香りを楽しむ他、数珠などの装飾品としても利用される。
香りの良い高級な香料やお香の原料として用いられる。
その他
その希少性から、同じ重さの黄金をはるかに超える価値を持つとされています。
偽物も多く出回っているため、注意が必要です。
また現在では、人工栽培で良質なものもでてきてはいますが、
天然の伽羅とは香り、価値ともに違う為、実際に香木を焚き香りを確認する必要がございます。
沈香(じんこう)
定義
ジンチョウゲ科の樹木に樹脂が沈着したものを指します。
樹木の傷や病気などによって樹脂が内部に蓄積され、長期間熟成されることで生成されます。
樹脂を多く含んだ沈香は水に沈むことから、「沈水香木」と呼ばれ、略して「沈香」と呼ばれるようになりました。
香り
産地や樹脂化の違いによって香りが異なるとされます。
深く、独特な香りで、お香の材料として非常に貴重です。
「六国五味」と呼ばれる分類があり、産地と香りの特徴が結び付けられています。
用途
香道での使用や、漢方薬としても珍重されてきました。
香炉で焚いて香りを楽しむ他、数珠などの装飾品としても利用されます。
お香の材料として用いられることが多く、香りの鑑賞に適しています。
その他
現在、沈香樹は絶滅危惧種に指定されており、輸入規制が行われています。
熱帯アジアに自生するジンチョウゲ科の常緑高木から採取されます。
元々の沈香樹は、とても軽い樹木ですが、長い年月を経て樹脂化が進むにつれ比重が大きくなります。
その為、樹脂の比重や熟成度、密度で価値が大きく変動します。
白檀(びゃくだん)
定義
ビャクダン科の樹木の芯の部分に精油が溜まった部分を指します。
ビャクダン(インドを原産地とする植物)から採取された木材を指します。
芯に含まれる精油が白檀の香りの源です。
香り
甘く爽やかで、穏やかな香りが特徴です。
ウッディなベースにスモーキーでスパイシーな要素が加わり、優しい甘さも感じられるとされます。
常温でも芳香を放ちます。
用途
お香や香水の原料として広く利用されています。
仏像や念珠、扇子など、さまざまなものに加工されます。
建築や仏具、仏像、扇子、線香など、多様な用途で使われ、日本でも馴染みのある香りです。
薫香として使用するほか、工芸品の材料にも用いられる。
その他
外気に触れることで徐々に香りが薄れていくため、保管には注意が必要です。
インドのマイソール産が最高級とされています。
日本では自生せず、インド、インドネシア、オーストラリア、フィジー、アフリカなどの熱帯・亜熱帯の国々を中心に産出されます。
下記の記事で、伽羅・沈香・白檀の特徴をより詳細に解説しておりますので、ぜひご覧ください。
香木の種類はどんなものがある?香道で利用される3種と価値の高い香木を解説!
香炉で焚く香木
香木は、香炉で焚いて香りを楽しむことができます。香木を焚く主な方法として、空薫と聞香があります。
空薫(そらだき)
空薫は、香木を直接焚かずに、香炉の灰の中で温めることで香りを楽しむ方法です。
香木を間接的に温めるため、香りが穏やかに立ち上り、香木本来の香りを楽しむことができます。
灰を整える道具や、炭団などを扱うための火箸(火筋)など、専門の道具を用いることも特徴です。
聞香(もんこう)
聞香は、香木の香りを鑑賞するための、一定の作法にのっとった香りの聞き方です。
香道において、香りの種類を識別したり、香りの変化や余韻を楽しむことを目的とします。
香木を焚く際には、銀葉と呼ばれる雲母板を使うことが特徴です。
香匙や香筋といった香道具を用いて香木を扱う作法も重視されます。