香木はなぜ高い?価格の決め方と伽羅・沈香・白壇の買取相場を解説!
香木の上品な香りは人々を癒してくれます。しかし香木は高値で取引されていることも多く、気軽に楽しめないと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。中には1g数万円もする香木は、なぜそんなに高額なのでしょうか。この記事では香木の価値がどのように決められているのか詳しく紹介します。香木の売却を考えている方、香木についてもっと知りたいという方は参考にしてください。
■香木とは?歴史と種類を解説
香木とはどのようなものなのだろう?という方に向けて、香木の基本情報をご紹介します。概要・歴史・種類について解説するので参考にしてみてください。
●香木の概要
香木とは、日本では「香道」に用いられる木のことを指します。良い香りのする樹木のこと。有名なのは一般的に伽羅(きゃら)・沈香(じんこう)・白檀(びゃくだん)の3種類です。がのことを指します。伽羅・沈香の2種は、樹木から出る樹液が固まってできた樹脂で、長い年月をかけて変質・熟成し香木になります。香木ができるまでには数十年~数百年、さらに品質の良い香木になるには100年以上の長い年月がかかります。白檀は、サンダルウッドとも呼ばれる樹木のことで、幹や心材に含まれる精油が香るとされています。
香木が香る理由は樹脂にあります。樹木は傷つくと、自ら香りのある樹液を出して傷を食い止めようとします。樹液が固まった樹脂は、長い年月をかけて変質・熟成し香木になります。香木ができるまでには約30~50年、さらに品質の良い香木になるには100年以上の長い年月がかかります。
●香木の歴史
香木の歴史は古く、『日本書紀』に595年に淡路島に漂着したという記述があります。香りに驚いた島民が朝廷に献上し、時の摂政であった聖徳太子が「香木(沈香)」と鑑定したといわれています。香木は東南アジアで産出されているため、当時からとても貴重なものでした。
そのため貴族や武将などの特権階級でのみ使われていましたが、江戸時代になると少しずつ庶民の間でも広まっていきます。
●香木の種類
香木の種類は主に3種類です。
・伽羅
伽羅は最高級品の香木で、沈香の中でも特に質の良いものをいいます。常温でも良い香りがするのが特徴です。香りは「幽玄」、「幻想的」、「甘くてスパイシー」などと表現されます。
・沈香
沈香は産地や木の部位により少しずつ香りが異なります。香道でもよく利用される香木です。香道では香りを味覚に例えて表現するのですが、沈香は「甘み」「酸み」「塩辛さ」「苦み」「辛み」が複雑に絡まり合っているのが特徴です。原木に樹脂が生成されることで重くなり、水に沈むので「沈香」という名前がつきました。
・白檀
白檀は線香にも多く使われる馴染みがある香りです。英語では「サンダルウッド」といい、香水やオイルとしても使われています。香りは上品で甘さがあり、爽快感を与えてくれます。熱を加えなくても香るため、仏像や数珠などの彫刻品にも多く使われています。
■香木が高いのはなぜ?価格はどう決まる?
香木の中には1g数万円するものも。香木はなぜそれほど価値があるのでしょうか。
●香木が高い理由
香木の生成には数十年~数百年最低でも約30年~50年、品質の良いものになると約100年以上必要です。このように生成に時間がかかる他、「20世紀末から良質な伽羅、沈香はとれなくなってる」「一部の限られた地域でしかとれない」といった理由から、香木は大量生産ができません。ため大量生産ができません。従って市場に出る数が少なく、非常に希少性が高くなっています。また同じ木からできた香木でも部位によりそれぞれ香りが異なります。香木は唯一無二であり、代替品がないのです。
香木は数の少なさからワシントン条約で取引が制限されており、輸入には手続きが必要です。しかし近年では中国をはじめとして世界的に人気があるため、国際的に需要が高まり盛んに取引されています。そのため今も価格の高騰が続いています。
●香木の価格の決め方
香木の価格はどのように決められているのでしょうか。
・使われ方(用途)
香木の用途には主に聞香用と焼香用の2種類あり、どちらの目的で使われるかによって価格が異なります。聞香用の香木に比べて仏教にまつわる焼香用の香木の方が安価な傾向があります。
・形
香木は大きいほうが高く査定されます。香木の形状には、樹木そのままで鑑賞用の「木(ぼく)」、使いやすく割った「割(わり)」、細かく刻んで焼香などに使われる「刻(きざみ)」「粉末」、ごく薄く切り分けた「笹(ささ)・爪(つめ)」などがあります。
・木の品種
最も高価な香木は伽羅です。次いで沈香、白檀と評価されます。
・香木の種類
香木は産地ごとに伽羅(きゃら)、羅国(らこく)、真那賀(まなか)、真南蛮(まなばん)、寸聞多羅(すもたら)、佐曾羅(さそら)の6種類に分けられます。香道では「六国」と呼ばれています。
■伽羅・沈香・白壇で解説!香木の相場は?
代表的な3つの香木を例に、香木の相場を解説します。それぞれの相場と価格の傾向について知りたいという方は参考にしてみてください。
●伽羅
・空薫用・焼香用の相場
伽羅は形状によって相場が異なります。空間に香りを漂わせる空薫(そらだき)用や焼香用の粉末であれば、1g1万5千円~4万5千円ほどが相場です。木の状態のものであれば1g2万5千円〜10万円程度で査定されます。
・香道用の相場
香道用の香木は、焼香用よりも高価な傾向があります。そのため香道に使うための伽羅は、1g1万5千円~6万円が相場です。
・価格における傾向
伽羅は細かく等級が分かれていますが、形状や品質により大きく価格が変動します。相場は日々変わるため正確な価格を知ることは難しいのですが、目安としては1gあたり2万円~が多く、場合によっては1g10万円以上するものも。
●沈香
・空薫用・焼香用の相場
空薫用・焼香用の沈香は、一般的に黒っぽく樹脂の濃いもの、大きいものが高額です。刻みであれば1g20円程度の安価なものもあります。
・香道用の相場
香道で使用される沈香は高級クラスのものですが、それでも品質は多岐に渡ります。原木から削って少量を販売した品質の良いものは1g数千~1万1万円~2万5千円程度が多いようです。
・価格における傾向
沈香の価格にはばらつきがあり、1g1万円以上するものから1g100円以下のものまでさまざまです。姿物や良質なものが高価になる傾向があります。小さいものは安く、大きくなるほど高くなります。また、水に沈むものも高く評価されます。
●白檀
・空薫用・焼香用の相場
空薫用・焼香用の白檀の相場は品質や加工状態により異なりますが、1g10~50円ほどが多いです。
・香道用の相場
香道に使う白檀は質の良いものですが、沈香よりも価格は低い傾向にあります。
・価格における傾向
白檀の価格は状態や産地により異なります。質の良いインド・マイソール産の老山白檀は相場より10倍以上の査定がつくものも。
■高額査定される香木の特徴と買取業者選びのポイント
香木はどのようなものが高く評価されるのでしょうか。香木の売却を考えている方の参考に、買取業者選びのポイントとあわせて紹介します。
●高額査定される香木
高額査定される香木の特徴としては以下があります。ご自宅に不要な香木があるという方は、ぜひ照らし合わせて確認してみてください。
・希少性が高い種類
香木は品質が良いものほど生成に長い時間がかかっています。そのため希少性も高くなり、高額査定へと繋がります。
・重みがある
香木の香り成分である樹脂は、密度が高くなるほど重さが増します。つまり大きさのわりに重い香木は樹脂密度が高く、より品質の良い香木といえます。
・サイズが大きい
香木の価値はあくまで香りの質が重要ですが、香木の大きさも価格を決める1つの判断基準です。質が同じ香木の場合、サイズが大きい方が高値がつきます。
・黒ずんでいる
香りの元である樹脂は密度が上がると黒ずんできます。そのため、色は品質を見極める指標です。黒ずんで色が濃い香木は高値での取引が期待できます。
・保管状態が良い
保管状態が悪いと、せっかくの品質の良い香木でもボロボロになってしまい価値が下がってしまいます。直射日光が当たる場所、湿度の高い場所、匂いが強いものの近くで保管するのは避けましょう。
・香りが強い
香木は香りを楽しむもの。香りの良さ・香りの強さが香木の価値を判断する上で最も重要です。
●香木の買取業者の選び方
香木は、ものによっては非常に価値が高い骨董品です。遺品整理などで香木が出てきた際、処分方法に困って捨ててしまうといったこともあるかもしれませんが、おすすめなのは専門の鑑定士が所属する買取業者に査定を依頼することです。価値の有無がわかることで、売却するか、廃棄するか、保有するかの判断もしやすくなります。不要な香木をお持ちの方は、ぜひ買取を検討してみてください。なお、買取業者を選ぶ際には以下のポイントに注意しましょう。
・香木の買取実績が豊富
香木の価値は見た目では判断できないので、一般の方では正確に判断するのが困難です。業者のWEBページなどで香木の買取実績を確認し、実績豊富な業者を選びましょう。
・香木に詳しい鑑定士が所属している
香木は需要の高まりと共に偽物も多く出回っています。そのため知識を持った鑑定士が在籍している業者にお願いしましょう。
・メディア露出がある
メディアに露出経験がある店舗は、豊富な知識と経験を持つスタッフがいることが保証されています。
・アフターフォローがしっかりしている
香木は希少性が高いものなので、売却したあとに後悔してしまうことがあるかもしれません。クーリングオフ制度など、アフターフォローをしてくれる業者であれば安心してお願いすることができます。何か疑問があれば気軽に相談をしてみましょう。
・担当者の対応が丁寧
なるべく担当者の対応が丁寧な業者にお願いしましょう。疑問点があった場合、気軽に確認できます。きめ細かいサービスが行き届いているか、品物を丁寧に扱ってくれるかどうかもチェックしてから依頼をしましょう。
香木買取
■まとめ
香木は生成に長い年月がかかるので、年々採取できる量が減っています。しかし世界的に需要が高まっているため、今後も価値が上がり続けていくことでしょう。香木の価値は重さ、サイズ、種類、香りなど様々な基準から判断されますが、正確に価値を判断するためには知識と経験が必要不可欠です。香木の正しい価値を知りたい場合は、香木の買取実績が豊富な業者にお願いしましょう。
価値の分からない香木をお持ちの方や処分を考えている方は、古美術八光堂で一度査定してみてはいかがでしょうか。専門知識と経験豊富なスタッフが丁寧に鑑定いたします。汚れや傷があっても高値で取引されているものもあります。ぜひお気軽にご相談ください。