茶道具の査定ポイント
茶道具の査定価格は、主に以下の3つのポイントを重視して算出されます。
ポイント |
詳細 |
作品の状態は良好か |
・傷や汚れの有無
・破損の有無
・経年劣化(変色、ひび割れ)
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歴史的価値のあるものか |
・作成年代
・有名な茶人の所有歴
・歴史的背景や関連出来事
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付属品は揃っているか |
・共箱の有無
・仕覆の有無
・風呂敷の有無
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下記にて、詳細を解説いたします。
作品の状態は良好か
傷や汚れ、破損が無いことは査定における重要なポイントです。
また、経年劣化による変色やひび割れなども、価値を下げる要因となり、査定額にマイナスの影響があります。
歴史的価値のあるものか
作られた時代や、所有していた人物などの歴史的背景も重要な査定ポイントです。
時代については、一般的に、近い年代のものより古い時代のものの方が、価値が増す傾向にあります。
所有者については、有名な茶人が所有していた茶道具や、歴史的な出来事に関係する茶道具は、非常に価値が高い傾向があります。
なお、作品や箱に書かれている花押(かおう)は、作者や品物を特定する上で重要な要素となります。花押は、名前の一字などを図案化・模様化したもので、他者のものと明確に区別するために用いられます。
付属品は揃っているか
共箱や仕覆、風呂敷などの付属品が揃っていると、査定額が上がることがあります。
茶道具の定義
茶道具とは、茶道で使用される様々な道具の総称です。茶道は、室町時代に中国から伝わった禅宗の影響を受け、日本独自の文化として発展しました。茶道具は、その歴史の中で、単なる道具としてだけでなく、芸術作品としての価値も認められるようになり、現在では多くのコレクターが存在します。
(出典:文化庁地域文化創生本部事務局「令和2年度生活文化調査研究事業(茶道)報告書」)
茶道具の種類
茶道具には様々な種類があり、それぞれに役割があります。代表的な茶道具には以下のようなものがあります。
名称 |
読み方 |
定義 |
茶碗 |
ちゃわん |
茶をいただくための器。 |
茶筅 |
ちゃせん |
抹茶を点(た)てるための道具。 |
茶杓 |
ちゃしゃく |
抹茶を茶入や棗からすくうための道具。 |
風炉 / 炉 |
ふろ / ろ |
茶釜をかけるための道具。 |
釜 |
かま |
湯を沸かすための道具。 |
水指 |
みずさし |
茶釜に水を足したり、茶碗や茶筅を洗う水を蓄えておく為の道具。 |
建水 |
けんすい |
茶碗を清めた後の湯や水を入れる為の道具。 |
茶巾 |
ちゃきん |
茶碗を拭くための布。 |
棗 |
なつめ |
抹茶を入れるための茶器。 |
柄杓 |
ひしゃく |
湯水を汲むための道具。 |
蓋置 |
ふたおき |
釜の蓋や柄杓を置くための道具。 |
香合 |
こうごう |
香を入れておくための器。 |
棚 |
たな |
茶道具を飾るための台。 |
茶箱 |
ちゃばこ |
点前道具一式を携帯できるように作られた箱。 |
盆 |
ぼん |
茶道具を載せて運ぶための道具。 |
水注薬缶 |
みずつぎやかん |
水指や釜に水を補う為の道具。 |
炭十能 |
たんじゅうのう |
熾した炭を運ぶための道具。 |
火起こし |
ひおこし |
炭を熾すための道具。 |
風炉先屏風 |
ふろさきびょうぶ |
点前畳を、他の畳から区切る道具。 |
杓立 |
しゃくたて |
柄杓を立てておくための道具。 |
これらの道具は、材質、形状、デザインなど、さまざまなバリエーションがあり、それぞれに歴史や文化が込められています。また、「水指」「杓立」「建水」「蓋置」の4点が揃ったものを「皆具(かいぐ)」といいます。
下記の記事では、茶道具の種類だけでなく、高く買い取ってもらいやすい茶道具の特徴も解説しておりますので、ご覧ください。
茶道具はどんなものがある?茶道具の価値の見極め方と高価買取のポイントも
茶道三千家とは
三千家(さんせんけ)とは、茶道の流派のうち、表千家、裏千家、武者小路千家を総称する呼び名です。
名称 |
読み方 |
定義 |
表千家 |
おもてせんけ |
千利休の孫である千宗旦の三男の江岑宗左が創設した流派。 |
裏千家 |
うらせんけ |
千利休の孫である千宗旦の四男の仙叟宗室が創設した流派。 |
武者小路千家 |
むしゃこうじせんけ |
千利休の孫である千宗旦の次男の一翁宗守が創設した流派。 |
なお、古美術八光堂では千家の買取も承っております。
参考までに、下記は八光堂にて過去買取させていただいた、千家十職の駒沢利斎や黒田正玄の作品を解説したページです。ご興味がありましたらご覧ください。
【出張買取:茶道具買取】駒沢利斎 莨盆
【名古屋店:茶道具買取】黒田正玄 蓋置
箱の種類
茶道具を収納する箱には、大きくは下表の種類があります。
箱の種類 |
説明 |
共箱 |
道具を制作する際に、合わせて作られた箱。作者や道具の名前、制作年などが記されていることが多い。 |
極箱 |
第三者が作品を鑑定・認定し、箱書きをした箱。 |
書付のある箱 |
家元や大徳寺の僧侶などが作品名や銘を書き入れた箱。 |
二重箱・三重箱 |
箱を保護するために、二重、三重に箱に入れることがある。また、複数名の書付などがある場合がある。 |
以下では、それぞれの箱について詳細に解説します。
共箱(ともばこ)
茶道具を制作する際に、その道具に合わせて作られた箱です。
作者自身が、作品の内容、作品名、作家名を箱に記します。
作品の来歴を証明する重要なものであり、共箱があることで茶道具の価値が大きく変わります。
蓋の甲に作品名と作家名が書かれているもの、蓋の甲に作品名、蓋の裏に作家名が書かれているものなど、書き方にはいくつかの種類があります。
なお、共箱は日本独特の文化とされており、海外の作品ではあまり見られないものです。
極箱(きわめばこ)
作者とは別の第三者(作家の遺族、鑑定人、家元など)が、箱におさめられた作品に対して作者や時代を鑑定・認定し、箱書きをした箱 です。
鑑定・認定した人物や伝来の内容によって査定評価が変わります。
書付(かきつけ)のある箱
各流派の家元や大徳寺の僧侶など、権威のある人物が作品名や銘などを書き入れた箱 です。
特に家元の書付のある箱は、その家元の「お墨付き」とされ、さらに評価が上がります。
二重箱・三重箱
箱を保護するために、二重、三重に箱に入れることがあります。
箱を新たに作って書付を行う場合に、二重箱や三重箱といった形が存在します。
二重箱、三重箱は、より丁寧に保管するための手段と考えられます。
これらの箱は、茶道具の価値を保ち、査定額を上げるために非常に重要な要素です。箱の種類によって、誰がその道具を評価・保証しているのかが異なり、それによって茶道具の価値が左右されます。
保管方法
茶道具は、使用したら抹茶の汚れを落とし、しっかりと乾かしてからしまうのが基本です。特に、茶碗や茶筅は水分に触れるため、十分に乾かさないまましまうとカビが発生する可能性があります。
また、茶道具に関連して、抹茶はデリケートな風味を楽しむために、保管場所にもこだわりましょう。抹茶は、缶などの密閉できる容器に入れ、冷蔵庫で保管するのがおすすめです。ただし、冷蔵庫に入れる際には、他の食品のにおいが移らないように注意が必要です。