茶道具の棗(なつめ)とは?種類や価値を解説!
棗(なつめ)は、茶道において抹茶を納めるための美しい茶器です。漆で仕上げられたその姿は、茶席に静かな存在感を与え、特別な役割を果たします。また、蒔絵や螺鈿(らでん)が施された棗は、実用性だけでなく芸術作品としての価値も持ち合わせています。この記事では、そんな棗の使い方や保管方法、その価値について解説します。また、棗の買取を考える方に向けて査定時のポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
茶道具の棗とは?

茶道具とは?
茶道具とは、茶道の場で使用される様々な道具の総称です。抹茶や煎茶を点てるための道具や、おもてなしの場を整えるための装飾品も含まれます。茶道具は主に「茶碗」「茶杓」「水差し」「柄杓」「棗(なつめ)」など用途ごとに分けられており、それぞれが茶会の流れの中で重要な役割を担っています。
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茶道具の棗とは?
茶道の世界で使われる道具のひとつに「棗(なつめ)」があります。棗は、抹茶を一時的に入れておくための茶器で、茶会の流れの中で重要な役割を果たします。丸みを帯びた円筒形の外見が植物のナツメの実に形が似ていることから、その名が付けられたと言われています。
漆塗りで仕上げられた棗の表面には、伝統的な技法による美しい蒔絵や螺鈿(らでん)が施されることもあります。こういったものは、実用的な役割だけでなく、茶会に華やかさを添える装飾品としての一面も持ち合わせています。
茶道具の棗の種類は?

茶道具の塗り方
棗は漆塗りが一般的ですが、塗り方にいくつかの種類があり、それぞれ異なる風合いを楽しめます。
変塗り
変塗りは、複数の漆を重ねて独特な模様や色合いを生み出す技法です。見る角度や光の当たり具合で異なる表情を見せ、職人の技術が光る塗り方として人気があります。
溜塗り
溜塗りは、下地に色漆を塗り、その上から透けるような漆を重ねる技法です。重ねることで奥行きのある深みを生み出し、時間が経つにつれて風合いが増していくのが魅力です。
蒔絵
蒔絵は、漆で描いた模様の上に金粉や銀粉をまいて装飾する技法です。華やかで格調高い見た目が特徴で、特別な茶会などでもよく使用されます。蒔絵の技法にはいくつかの流派があり、デザインも多岐にわたります。
漆塗り
漆塗りは、棗の表面に漆を塗り重ねて仕上げる技法です。何度も塗りと研ぎを繰り返すことで、光沢と耐久性が生まれます。漆の艶やかさが美しく、茶会の席でも人気があります。
一閑張り
一閑張りは、和紙を何重にも張り重ねた上に漆を塗って仕上げる伝統技法です。軽量でありながら丈夫で、独特の質感が魅力です。茶道具としてだけでなく、飾り物としても人気があります。
拭き漆
拭き漆は、漆を塗っては拭き取る作業を繰り返すことで、木目の美しさを生かした仕上げ方です。自然な風合いが残り、手に取るたびに温かみを感じることができます。
茶道具の形状は?16器とは?
16器とは?
棗には「16器(じゅうろっき)」と呼ばれる基本的な形状があります。それぞれ形や用途に特徴があり、茶席のテーマや季節に合わせて使い分けられます。ここでは16器の中でも代表的なものを3つ紹介します。
大棗
大棗は、最も一般的な形状の棗です。大きさは二寸六分半(約8cm)。胴が丸くふっくらとしており、抹茶を多く入れることができるため、大人数の茶会でも活躍します。
中棗
中棗は、大棗よりも一回り小さなサイズで、個人での稽古や少人数の茶会で使用されることが多いです。大きさは二寸二分(約6.5cm)。手の中に収まりやすく、扱いやすいのが特徴です。
平棗
平棗は、背が低く広がりのある形をしています。茶会での趣向や席のテーマに合わせて使われ、シンプルな美しさが際立ちます。
茶道具の素材
棗の素材には主に木や竹・象牙が使用されます。特に木製のものが一般的で、軽く手触りが良いのが特徴です。竹製のものは涼やかな印象があり、夏の茶会などで好まれます。象牙製は高価で希少ですが、非常に美しい光沢を持っています。
また、漆塗りが施されているものが多く、無地のものから凝った絵巻物のような華やかな柄のものまで多種多様です。中には金属や陶磁器で作られた珍しい棗も存在し、現代の茶人たちにも愛用されています。
茶道具の使い方や保管方法は?

棗の基本的な使い方
棗には抹茶の粉が入れられますが、抹茶は非常に細かく静電気を帯びやすいため、取り扱いには少しコツが必要です。抹茶は軽く、舞い上がりやすいので、茶杓(ちゃしゃく)を使って静かにすくい入れるのが基本です。
また、抹茶は時間が経つと湿気を吸って固まりやすくなります。固まった状態のままお湯を注いで茶を点てると、うまく混ざらずにダマが残り、口当たりが悪くなってしまいます。そのため、棗に抹茶を入れる際は、ふるいを使って丁寧にこしてから入れるようにしましょう。
このようにすることで抹茶が均一になり、点てたときに滑らかな舌触りになります。
茶道具の保管方法
棗を美しい状態に保つためには、使い終わった後の手入れや保管方法に気を配ることが大切です。
使い終わった後は、まず羽根箒(はねぼうき)を使って内側と外側の抹茶の粉を丁寧に払いましょう。その後、乾いた柔らかい布で優しく拭き取ります。このとき、少しでも抹茶が残っていると、カビや嫌な匂いの原因になるため注意が必要です。
拭き終わったら、風通しの良い場所で陰干しをして完全に乾燥させます。湿気が残ったまま収納すると、木製の棗は劣化しやすくなるので、必ずしっかり乾かしてください。乾燥後は、棗専用の木箱に入れて保管しましょう。木箱に入れることで外部の湿気や乾燥から棗を守り、長期間美しい状態を保てます。
なお、水洗いは厳禁です。これは漆や蒔絵(まきえ)・沈金(ちんきん)などの装飾が傷んでしまうからです。洗剤で洗うのも、もちろんNGです。洗剤の成分が漆の表面にダメージを与える可能性があるためです。
棗の価値とは?買取業者を選ぶときのポイントは?

棗の価値は?
棗は、その素材や形状・製作年代・作家・保存状態などによって価値が大きく変わります。特に製作年代が古く、状態が良いものは高い評価を受けることが多いです。また、棗を保管する際に使われる「仕覆(しふく)」と呼ばれる巾着袋や、オリジナルの木箱が残っていると、査定額がさらに上がることがあります。
茶道具の価値を正確に判断するのは一般の人には難しいと言えます。そのため、茶道具の知識が豊富で鑑定経験のある業者に査定を依頼するのがおすすめです。特に、茶道具の取扱経験が豊富な業者は、保存状態や作家の価値を適切に評価してくれるでしょう。
買取業者を選ぶときのポイントは?
茶道具の買取業者を選ぶ際には、茶道具に強い鑑定士がいるかどうか確認することが大事です。前述したように、茶道具の正しい価値を理解するためには専門的な知識や経験が必要だからです。過去に茶道具の取引があったかどうかを公式サイトなどでチェックしてみましょう。
また、査定の流れや料金が明確に記載されているかどうかも重要なポイントです。依頼者にとって不安のない明瞭な対応を行っている業者は信頼できます。
さらに、対応の柔軟性や質問への回答の丁寧さ、アフターフォローの充実度も確認しておくと安心です。初めて査定に出す場合は特にわからないことも多いので、その都度質問に答えてくれたり、丁寧に対応してくれる業者を選びましょう。また、売却した後に「やっぱり売らなければよかった」と思うことも無きにしも非ずなので、クーリングオフができる方が安心です。
茶道具高額買取
まとめ
今回ご紹介したように、棗にはさまざまな種類があり、中には高い芸術的価値を持つものもあります。そんな棗の美しさを長く保つためには、正しい使い方と保管方法を覚えておくことが大切です。ぜひ今回の記事を参考にしてください。
また、お家に眠っている棗がある方は、一度査定に出してみてはいかがでしょうか。古い時代に作られた棗や作家ものの棗は、高い価値を持つこともあります。もしかしたら思いがけない高値が付くかもしれません。
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