中国の掛け軸とは?特徴や有名作家、買取のポイントを解説
中国の掛け軸には、長い歴史と深い文化が詰まっています。美しい花や風景が描かれたもの、力強い書が書かれたものなど、その種類もさまざまで、作品によっては大きな価値がつくものもあります。もしご自宅に中国掛け軸が眠っているのであれば、一度見直してみてはいかがでしょうか。そこでこの記事では、中国の掛け軸の特徴や有名作家について紹介します。
中国の掛け軸とは?歴史や特徴

中国の掛け軸の歴史
中国の掛け軸は、長い歴史を持つ伝統的な絵画や書の表現方法です。中国由来の技法や中国の作家によって生み出された作品が掛け軸として制作されており、そのルーツは北宋時代(960年~1127年)に遡るとされています。
この時代には、仏教の教えを広めるために仏画として掛け軸が多く制作されました。仏教的な意味合いが強かったため、寺院や僧侶の居所で祀られることが多く、宗教的な役割を果たしていました。
日本にも掛け軸の文化が伝わったのは中国からで、時を経て独自の発展を遂げています。それでも、伝来した当初は仏教的な精神を色濃く受け継いでおり、祈りや教えを視覚的に示す重要な役割を持っていました。
現在でも、中国の掛け軸は歴史的な価値が高く、特に有名な作家の作品や古い時代のものは美術品として高額で取引されることも少なくありません。長い時を経てきた作品は、単なる絵画としての価値にとどまらず、その時代背景や文化を映し出す歴史的な資料としても評価されています。
中国の掛け軸の特徴は?
中国の掛け軸には、独特の美学や技法が反映されていて、以下のような特徴が見られます。
中国の掛け軸の3つの特徴
中国の掛け軸の特徴として、「書画同源(しょがどうげん)」と「詩画一如(しかいちにょ)」という考え方が挙げられます。これは、書(文字)と画(絵)は同じ源から生まれ、互いに調和するものとする思想です。単なる絵画としてだけではなく、そこに記された詩や文字も含めて一つの芸術作品として成立しているというわけです。
また、掛け軸の表装には「文人表具」という中国独自の様式が使われています。これは、書画を引き立てるための表装技術で、作品の品位や格調を高める役割を担っています。特に、作品に施された落款(署名や印章)は、その作家の個性を示すだけでなく、芸術的な価値も認められています。「高名な書家や画家が自ら押印することで作品が完成する」という考え方があり、この落款もまた鑑定の重要なポイントとなります。
中国の掛け軸のその他の特徴は?
色彩や画風も中国の掛け軸の魅力の一つです。伝統的なものでは、墨の濃淡で奥行きを表現する水墨画や、自然の美しさを鮮やかな色彩で描いた作品が多く見られます。特に山水画や花鳥画は人気が高く、静寂な風景や生命の息吹が繊細に描かれています。
また、サイズや形状も日本の掛け軸とは異なります。日本の掛け軸は床の間の大きさに合わせたものがほとんどですが、中国の掛け軸は2メートルを超えるような大きいものもあります。形状についても違いがあります。例えば、掛け軸を吊るす紐がついている「表木」については、日本のものは半月状なのに対して、中国のものは四角いという特徴があります。
中国の掛け軸の主な種類は?

中国花鳥画
中国花鳥画は、文字通り花や鳥を主題に描いた掛け軸の一種です。その歴史は古く、唐代(618年 – 907年)にはすでに盛んに描かれていました。
花鳥画の特徴は、自然の美しさを讃えると同時に、花や鳥の姿に込められた象徴的な意味を重んじていているところにあります。例えば、梅は厳しい冬を耐え忍ぶ精神を、牡丹は富貴や繁栄を表します。描かれる鳥もまた、鶴は長寿、鳳凰は吉祥の象徴とされています。
また技巧としては、初期には鉤勒填彩という正確な画法が用いられていましたが、後期には色彩や筆のタッチを重視する没骨法が取り入れられるようになりました。
院体画(北宗画)
院体画、または北宗画は、写実的な表現を重視した中国絵画の一派です。主に宮廷の画院で育まれたため「院体画」と呼ばれ、皇帝や貴族の支持を受けて発展しました。特徴としては、建築物や山水・人物などが細密で写実的に描かれています。特に遠近感の表現や細部の陰影にこだわることで、まるでそこに実在するかのようなリアリティを持っています。
中国水墨画
中国水墨画は墨一色で描かれる掛け軸の形式です。唐代に始まり、宋代に入ってから大きく発展しました。墨の使い方次第で、まるで色彩があるかのような豊かな表現が可能です。墨のにじみやかすれも表現の一部とされ、描き手の心情や技量がダイナミックに反映されます。モチーフとしては、自然の風景や竹・山水が多く描かれています。
中国山水画
中国山水画は、雄大な自然を主題にした掛け軸です。山水画は、現実よりも理想郷や想像上の景色を描いているのが特徴です。多くの場合は墨で描かれ、複雑な山の稜線や流れる川の様子が、力強くも繊細なタッチで表現されています。
文人画(南宗画)
文人画、あるいは南宗画は、知識人や詩人が趣味として描いた絵画を指します。技巧的な完成度よりも、描き手の精神性や思想などを重視するのが特徴です。墨の濃淡や筆の勢いを生かした抽象的な表現が多く、詩や書とともに掛け軸として楽しまれました。
中国の掛け軸の代表的な作家は?

亞明(アミン)
亞明(アミン)は中国現代絵画の巨匠で、特に水墨画の分野で知られている人物です。風景画や花鳥画を得意とし、その力強い筆致と大胆な構図が評価されています。
何海霞(カカイカ)
何海霞(カカイカ)は中国水墨画の名手で、伝統的な技法を守りつつも革新的な表現を追求した人物です。山水画に特化し、自然の雄大さと調和を表現することに長けていました。
呉昌碩(ゴショウセキ)
呉昌碩(ゴショウセキ)は近代中国を代表する書画家で、近代中国で最も優れた芸術家とさえ言われることがあります。画家だけでなく書家・篆刻家・詩人としても卓越した才能を持っていたことから、「四絶(しぜつ)」と評されています。代表作の掛け軸は700万円の査定金額が付いたことも。
斉白石(セイハクセキ)
斉白石(セイハクセキ)は中国近代絵画の巨匠で、「中国のピカソ」と呼ばれることもあります。特に昆虫や魚の描写に優れた才能を持っていて、代表作の「海老」は高い評価を受けています。
崔如琢(サイジョタク)
崔如琢(サイジョタク)は中国現代の著名な画家で、特に山水画と花鳥画に優れた作品を多く残しています。彼の描く自然の景色は繊細でありながらも、どこか力強い生命力を感じさせます。
范曾(ハンソウ)
范曾(ハンソウ)は現代中国の著名な文人画家で、詩や書にも優れた才能を持っています。人物画を中心に描き、その筆致は力強くも流麗で、独特の温かみがあるのが特徴です。
頼少其(ライショウキ)
頼少其(ライショウキ)は現代の中国画家で、特に水墨画の分野で名高い作家です。伝統技法を守りつつも、革新を加えた表現が特徴で、山水や花鳥を美しく描き出します。
白雪石(ハクセキセツ)
白雪石(ハクセキセツ)は中国近代を代表する画家で、特に雪景色が有名です。その作品には透明感と静寂が漂い、独特の世界観が広がります。代表作には「漓江一曲千峰秀」などがあります。
徐悲鴻(ジョヒコウ)
徐悲鴻(ジョヒコウ)は中国近代美術の父と称される存在です。特に馬の描写に優れており、彼の描く馬は力強く、まるで生きているかのような迫力があります。代表作には「馬画」「戯蝶図」「田横五百壮士」「鞭を放せ」などがあります。
于右任(ウユウジン)
于右任(ウユウジン)は、軍人や政治家・ジャーナリストなどさまざまな肩書きを持つ人物ですが、書道家としても知られています。その力強い筆致は国内外で高い評価を受けており、特に草書表現の掛け軸は非常に人気です。代表作には「涇原故舊記」などがあります。
中国の掛け軸を高額買取するポイントは?

中国の掛け軸は、その歴史的な価値や美術的な評価から、コレクターの間で非常に人気があります。特に希少価値の高いものや保存状態が良好な作品は、高額で取引されることも珍しくありません。高額買取が期待できる掛け軸の特徴を知っておきましょう。
歴史のある作品
中国の掛け軸は、同じような作品でも製作された時代によって価値が大きく異なります。一般的に、新しい作品よりも古い時代に作られたものほど高い価値が付きやすいと言えます。これは、歴史的な背景や制作技法の違い、そして保存状態が影響するためです。
また、掛け軸が収められている「共箱(ともばこ)」の香りや状態も、古さを判断する重要な手がかりになります。木材の香りや経年劣化の具合から、当時のものかどうかが分かる場合もあります。
入手方法の信頼性が高い
掛け軸の入手経路も査定額に大きく影響します。特に中国美術品は贋作も多く出回っているため、入手ルートが明確かどうかは重要です。美術専門のオークションや信頼のおける骨董品専門店から購入されたものは、鑑定書や購入履歴が残っていることが多く、贋作の疑いが少ないため高額査定につながりやすいと言えます。反対に、来歴が不明なものは評価が下がる傾向があります。
掛け軸の保存状態が良い
中国の掛け軸に限らず、骨董品は保存状態が良いほど高く評価されます。どんなに希少な作品であっても、日焼けやシワ・色あせ・虫食いなどがあると価値は下がってしまいます。特に古い掛け軸の場合、制作当時の美しさを保っているものは珍しいため、より高額な査定を受けることができます。適切な環境で大切に保管されている作品は、それだけで査定額が上がることが多いです。
有名作家の作品
中国の掛け軸には、歴史的な画家や著名な作家が手がけた作品も数多く存在します。こうした有名作家の作品は、市場での需要が高く、買取価格も高くなる傾向があります。特に、歴史的な出来事や美術運動に関わった作家の作品の場合、その価値はさらに上がります。
落款がある
落款とは、作家自身が作品に刻んだ印や署名のことで、真作の証として重要な役割を果たします。掛け軸は複製が作りやすい美術品ですが、落款が確認できる作品は肉筆である可能性が高く、その分、価値も認められやすいです。特に、有名作家の落款がある場合、その信憑性がさらに高まり、買取価格にも良い影響を与えます。
付属品が揃っている
掛け軸には、専用の共箱や証明書が付属していることがあります。これらの付属品は、作品の来歴や真贋を裏付ける証拠となるため、査定時に買取価格を引き上げる重要な要素です。特に共箱には、作品名や作家のサインが記載されていることもあり、骨董品コレクターにとって非常に価値があります。
専門家に査定を依頼する
中国の掛け軸は歴史や制作背景が複雑なため、正確な査定には専門的な知識が求められます。経験豊富な鑑定士や骨董品の専門家に依頼することで、適正な評価を受けられ、高額買取が期待できます。
中国の掛け軸の買取業者を選ぶポイント

実際に掛け軸の売却を考える場合、どの業者に依頼するべきか悩む方も多いでしょう。以下は、安心して買取に出せる業者を選ぶためのポイントです。
中国掛け軸の査定経験が豊富
中国の掛け軸には、時代ごとの特徴や作家の違い、また保存状態による価値の差など、査定には専門的な知識が求められます。正確な査定を行ってもらうためには、経験豊富な鑑定士が在籍している業者を選ぶことが大切です。特に、中国美術に精通した専門家がいる業者なら、作品の真贋や市場価値を的確に見極めてもらえるでしょう。
HPに依頼の流れや料金が明確に記載されている
買取業者の公式サイトを確認した際に、査定の流れや手数料、出張査定の有無などが明確に記載されているかも重要な判断材料です。具体的には、査定の申し込みから実際の買取までの流れが整理されて説明されている業者は、手続きをスムーズに進めることができます。
また、査定料や出張費、キャンセル時の手数料などの費用が曖昧な業者は、後々トラブルになる可能性があるため、注意が必要です。
対応の柔軟性が高い
依頼者の希望に応じて柔軟に対応してくれる業者かどうかも重要なポイントです。例えば、出張査定が必要な場合や、複数の掛け軸をまとめて査定してほしい場合など、細かな要望に応えてくれる業者は信頼性が高いと言えるでしょう。また、初めての方でも安心して相談できるよう、丁寧な説明をしてくれる業者は好印象です。電話やメールでの対応が迅速で親切なところも、安心して依頼できる要素となります。
Q&Aやアフターフォローがしっかりしている
掛け軸を売却した後に「やっぱり売らなければよかった」と後悔することもあります。そうしたトラブルを避けるためには、事前にアフターフォローの有無を確認しておくと良いでしょう。クーリングオフ制度を利用できるかどうか、売却後の問い合わせに対応してくれるかなどが重要です。また、公式サイトにQ&Aが充実している業者は、顧客の疑問や不安を解消する姿勢が見られるので安心感があります。
掛け軸高額買取
まとめ
今回ご紹介したように、中国の掛け軸は、時代や作家によって価値が大きく変わります。特に有名な作家の作品や保存状態が良いものは、高く評価されることもあります。
お家に眠っている中国掛け軸の売却を考えるのであれば、専門家による査定を受けて、その価値を確認することが大切です。その掛け軸は思わぬ宝物かもしれません。ぜひ一度査定を受けてみてください。
掛け軸高額買取






