鑑定士が使う難しい言葉を分かりやすく解説!!~墨はじき~
結局それって何なの!?
私達鑑定士は出張買取で様々なところに車で行きます。私の場合、九州と山口を担当しています。
普段から営業や運送などで車をお使いの方であればピンとくると思いますが、その土地によって交通ルールって様々ですよね?
初めて行く場所であれば曲がりたいところで曲がれなかったり、標識の書き方が微妙に違っていたり・・・。
外国人の方がよく迷うのが、標識のローマ字表記だそうです。たとえばある県では、「〇〇空港」のことを「〇〇 Air Port」と書いているそうですが、他の県になると「〇〇 Kuko」と書いてあったりするそうです。うん、分かりにくい!
ということで、今回は美術品に使われる分かりにくい言葉を解説いたします!
今回は「墨はじき」です。
九州にお住まいの方であればお聞きになったことがあるかもしれませんが、これは鍋島焼で使われる技法です。
私達がお品物の説明をするとき、なるべく伝わるようにご説明差し上げるのですが、口頭で説明するのはなかなか難しいところですので、実際の墨はじきの画像を使って説明します!
これが墨はじき!

墨とは文字通り、書道で使うあの墨です。
中央に白い桜の花びらがありますよね?実はこれを墨で書いているのです。
「え、墨なのに黒くないじゃない?」
そうなのです、実は墨は焼くときに全て抜けてしまい、色が残らないのです。
「え、じゃあなぜ墨でわざわざ描くの?」
実は、墨で描いたあとに染付(鍋島や有田焼によくある青い色)をすると、墨の膠(にかわ)が染付をはじくのです。油のようなものですね。そうすることで、画像のように染付の部分と真ん中の白い部分がくっきりと分かれて、まるでマスキングをしたような模様が出るのです。これが「墨はじき」です。
現代の墨はじきの使い手・今泉今右衛門

さいごに
いかがでしたでしょうか。
墨=黒いという概念が崩れるなんともおもしろい技法ですよね。
このようにあっと驚くような技法や作品が骨董にはいっぱいあります!
今後も気になる技法や骨董ワードを不定期ですがアップしていきますね!