根付の魅力~小さな世界~
根付について
「根付」と聞くと、今日ではいわゆるキーホルダーのような物として、神社等で売られている携帯ストラップのような小物等が想像できますが、骨董ジャンルの「古根付(こねつけ)」というと今のそれとは少し形態が違った工芸小物です。
モチーフも実に豊富でシンプルな形からユニークな生き物の形まで様々、そして中には細部まで緻密に作り込まれた芸術品として骨董価値も高い物も数多く、現在も世界中にコレクターがいる人気アイテムです。
今回はそんな根付についてのお話になります。
・誕生について
古くから日本人は細かな造詣を好まれるとも言われていますが、根付はまさに細かな魅力がたっぷり詰まっています。
誕生のきっかけは江戸時代、着物文化の中で根付は生まれました。
印籠や小さな革袋等、何かしらの小物を携帯するのに着物には洋服の様にポケットはありませんでしたので、武士や町人達は帯に吊るす紐を挟む等して小物をぶら下げました。その際、挟んだ紐が帯にしっかり挟まるように滑り止めとして帯に引っ掛けて用いたパーツが根付です。
初めは実用的な役割としてデザインも簡素な物でしたが、時代を経ると共に凝ったデザインの物が増えてゆき装飾的な価値もどんどん高まり、江戸後期には粋な心意気でバラエティに富んだ、人々を魅了するアイテムとなりました。
・種類について
素材は主に象牙や角、柘植など硬めの木材等、印鑑でも使用されるような密で丈夫な造詣向きの物で作られているものが多くあります。時代を経る毎に、味わい深い色味に経年変化してくるのもまた根付の魅力です。
モチーフの種類も大変自由で幅広く、人物、動物、物や神仏妖怪問わず、その時代の文化風俗が反映した物が様々に作られました。
形状の種類も人物や動物など様々なモチーフが彫刻された”形彫根付(かたぼりねつけ)”や、つるっと平たい円形の”饅頭根付(まんじゅうねつけ)”、はたまたギミックを楽しめる”からくり根付”など、様々な呼び名のタイプがあります。
どんな形・形状の物でも共通しているのは、根付の特徴である通し穴が空いている、という点です。一見するとまるで完璧な置物のように立体的で複雑な彫刻でも、必ず紐を通せる箇所があるのも根付ならではの面白味ではないかと思います。
また、作家物にはサインとして銘や”書き判”と呼ばれるマークがつけられたりもしますが、現在では国内外問わず贋物も大変多く出回っている状況です。
そんな根付の特徴であり、日本の十八番芸とも言われる”小さな世界観を大切にする感性”は、早くも明治時代には諸外国での人気が一気に広まり、浮世絵などと共に輸出品も多く出ました。
今日でも「netsuke」と認識されており、海外の有名美術館で所蔵展示されているほどです。
国内では和装から洋装に切り替わるに連れ、ブームは全体的には一旦落ち着きましたが、最近では新たな根付作家も増えてきたりと、また盛り上がりを見せてきています。知れば知るほどに奥深い魅力がある根付です。
さいごに
根付のような身近にある小さな骨董品も、八光堂では多数高額買取しております。
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