価値のある宝石は?査定方法と種類別の特徴・価値を解説
「宝石=価値が高いもの」というイメージをお持ちの方は多いかもしれません。ですが、実は宝石といっても分類が細かくあり、種類によってその価値は大きく異なります。そこでこの記事では、宝石の価値を判断する基準や、市場で高い価値がついている宝石をご紹介します。
宝石とは?宝石の定義と分類
宝石の定義
一般的に宝石とは、希少性が高く美しい外観をしている、モース硬度が7よりも高い天然鉱物を指します。
モース硬度は鉱物の硬さを表す尺度のひとつで、1から10までで設定されています。宝石の硬度として定められているモース硬度の数値「7」は、石英という鉱物の硬さと同じです。石英は砂埃の中に多く含まれている物質で、石英以上の硬さを持っていないと経年劣化によって品質が変化してしまうとされています。そのため、宝石の硬さの基準はこの石英のモース硬度7を基準としているのです。
但し、例外的に硬度が7以下であってもオパール、真珠、珊瑚などはその美しさと希少性から宝石として扱われています。
また、日本国内においては、社団法人日本ジュエリー協会と宝石鑑定団体協議会が「宝石は天然石と人工生産物とに大別され、このうち天然石のみを宝石とする」と定義しています。この定義は、宝石鑑定の際に従うべき基準である「宝石もしくは装飾用に供される物質の定義および命名法に関する規定」によるものです。なお、ここで言う「天然石」には、カットと研磨のみを施した天然石だけでなく、カットと研磨以外の人工的な処理(これをトリートメントと言います)を施した天然石も含まれます。
宝石は5種類に分類される
宝石は一般的に5種類に分類することができます。ただし、これらの中には、前述の社団法人日本ジュエリー協会と宝石鑑定団体協議会による宝石の定義からは外れているものもあります。
天然宝石
カットや研磨を除く人工的な処理が施されていない天然宝石を指します。
処理宝石
天然宝石にカットや研磨だけでなくトリートメントを施した宝石を指します。
人工宝石
科学的・人工的に作り出した、天然宝石と化学成分や構造などが同じ宝石を指します。
※ただし人工宝石は団法人日本ジュエリー協会と宝石鑑定団体協議会においては宝石とは認められていません。
人造宝石
天然宝石とは異なる物質を使って作り出した、天然宝石に酷似した宝石を指します。
※ただし人工宝石は団法人日本ジュエリー協会と宝石鑑定団体協議会においては宝石とは認められていません。
模造宝石
ガラスやプラスチック・陶器・植物・骨などを利用して天然宝石を模したものを指します。
※ただし人工宝石は団法人日本ジュエリー協会と宝石鑑定団体協議会においては宝石とは認められていません。
天然宝石のさらなる分類:貴石と半貴石
上記の宝石のうち天然宝石は、その条件からさらに2つに分類されます。
貴石
天然宝石のうち、「希少性」「外見の美しさ」「硬さ(モース硬度7以上)」の3つの条件を満たしているのを「貴石」と呼びます。代表的な貴石には、ダイヤモンドやルビー・サファイア・エメラルド・アレキサンドライトなどが含まれます。ただし、翡翠やオパールはモース硬度7以下ですが、見た目の美しさと希少性から貴石に含めることもあります。
半貴石
天然宝石のうち、貴石の条件を満たしていないものを「半貴石」と呼びます。つまり、天然宝石は貴石とそれ以外の半貴石に分類されるというわけです。代表的な半貴石には、トパーズやガーネット・トルマリン・アクアマリン・キャッツアイなどが含まれます。
とはいえ、一概に「貴石だから価値が高い」「半貴石だから価値が低い」というわけではありません。貴石である宝石でも濁りがあったり傷がついていたりすれば価値は下がります。反対に半貴石であっても美しく輝くものは高い価値をつけられることもあります。
宝石の価値はどうやって決まる?
さまざまな種類があり細かく分類されている宝石ですが、その価値は一体どのように決められるのでしょうか?ここでは宝石をあしらったジュエリーの評価基準をご説明します。
ブランド品か否かで値段が変わる
ジュエリーの価値を見極める際に、ブランド品かどうかは最初の基準となります。ブランドのリセールバリューやジュエリーのコンディション(ジュエリー自体の価値・傷の有無など)から評価していきます。人気ブランドやハイブランドのジュエリーでなおかつ状態が良いものであれば、当然価値は高くなり、買取時の査定額は高額になります。なお、ブランド品であることを示すには証明できる書類を持参するのがスムーズです。
宝石自体の価値、クオリティ・デザインで値段が変わる
宝石自体の価値も値段を大きく左右します。まず、ダイヤモンドかそれ以外のカラーストーンかどうかで価値が変わってきます。ダイヤモンドの場合は、主に4C (※1)という基準を用いて石をチェック。カラーストーンの場合は、ダイヤモンドの4Cのような統一基準がないため、大きさや色・割れや欠けがないか・輝きの程度などを指標として判断します。
(※1)4Cとは
4Cは、宝飾用ダイヤモンドの品質を評価する国際基準。色(カラー)・透明度(クラリティ)・重さ(カラット)・研磨(カット)の4点からダイヤの価値を判断する。
また、ジュエリーのデザインも評価に影響を与えることがあります。流行りの宝石を使ったデザインや新しく発売されたアイテム・限定品などの人気アイテムだと評価は高くなる傾向が見受けられます。
中には価値が付かない宝石も
宝石と聞くとなんでも価値があるのでは?と思う方がいるかもしれませんが、中には価値がつかないものもあります。市場で需要が少ない宝石は価値がつきにくく、貴金属部分(金や銀・プラチナなど)の相場価格を参照した金額のみで査定されることも決して珍しくはありません。
価値が付きやすいのは「五大宝石」
買取専門店などで高い価値がつくのは、ダイヤモンド・サファイア・ルビー・エメラルド・アレキサンドライトのいわゆる「五大宝石」です。このほか、希少性が高いことからオパールや翡翠・真珠なども価値がつきやすいと言えます。
反対に、これら以外の宝石は、よほど大きいかアンティークとしての歴史的価値があるもの以外は価値がつきにくい傾向があります。
価値が高い!宝石10選をご紹介
五大宝石
一般的に、ダイヤモンド・サファイア・ルビー・エメラルド・アレキサンドライトの五種類を「五大宝石」と呼びます。これらはその美しさや希少性から高い価値がつけられており、高額で取引されています。
ダイヤモンドの概要と価値
宝石の代表格とも言えるダイヤモンド。古くから、婚約指輪を始めとするさまざまなジュエリーに用いられてきました。ダイヤモンドは地球上で最も硬い宝石としても知られており、和名では「金剛石」といいます。また、構成元素が純粋な炭素一種類だけというのもダイヤモンドの特徴です。
ダイヤモンドの価値は、米国宝石学会(G・I・A)が定めた国際基準である「4C」によって決められます。
1、 カラット(重さ)
カラットとは、ダイヤモンドの質量(重さ)のこと。ダイヤの重さと大きさは比例するので、カラット数が大きい=サイズが大きいということになります。ちなみに0.1カラットのダイヤは約3mm、0.5カラットは約5mm、1カラットは約6mmで0.2グラムになります。
2、 カラー(色)
ダイヤモンドの色味を判定する評価基準です。ダイヤモンドは無色に近いほど評価が高くなり、黄色味が濃くなると評価が下がります。
但し、ダイヤモンドは稀に青、赤、ピンク、緑、紫などの色がついた天然物が発見されることがあります。これらは「ファンシーカラー」と呼ばれ、通常の無色のダイヤモンドとは別のかたちで評価され、希少性を認められます。なお、黄色の場合も色が非常に濃いものであれば「ファンシーカラー」と評価されるものもあります。
3、 カット(研磨)
カットはダイヤモンド加工後の評価です。ダイヤモンドは非常に硬いが故に研磨などの加工が難しく、加工には高い専門技術が必要です。ダイヤモンドを研磨する際は原石の特徴を活かせる様に仕上げの形を決めて、面を取り、輪郭を作っていきます。カットには職人の腕とセンスが如実に表れており、カット後のダイヤモンドの評価を決める大きな要因の一つとなります。カットの評価は5段階あり、上から「Excellent」「Very Good」「Good」「Fair」「Poor」があります。このカットによりダイヤモンドの煌きが決まりますのでグレード評価の重要なポイントとなります。
4、 クラリティ(透明度)
ダイヤモンドは透明度が重要視される宝石です。適正な光の元で特殊なルーペを使って石の内部や表面を細かくチェックし、内包物や傷の有無を調べます。クラリティの最上級は「FL(フローレス)クラス」と呼ばれ、このクラスのものには10倍の倍率で観察しても内包物も傷も一切ありません。逆に最下級は「I1,I2,I3(インクルーデット)クラス」と呼ばれ、肉眼で内包物や傷が確認でき、透明度や輝きに影響を与える可能性があるものとされています。
この4Cを評価基準として石をチェックし、価値が決められます。
ルビーの概要と価値
ルビーはコランダムという鉱物からできている宝石です。コランダムは本来無色透明な石ですが、クロムという金属元素が約1%混入することで赤く変化します。混入物の種類・濃度の違いで青色や薄いピンクなど多彩な色に変わりますが、赤色以外のものはサファイアと呼ばれ、濃い赤色のものをルビーと呼んでいます。
天然ルビーの主な産地はスリランカやタイ・ベトナム・ミャンマーなどのアジア地域に偏っており、欧米では採掘できません。産地においても宝石にできる美しい物は採掘できる場所が極めて限定されています。中でもミャンマーのモゴック産のルビーは最上級品として高い価値がつけられおり、カラーやカット・大きさ次第では、ダイヤモンドを上回る高値がつくことも。モゴック産のルビーは圧倒的に透明度が高いため、透明度を上げるための人工的な加熱処理を必要としないほどです。
現在日本で発行される鑑別書で、カラーが「ピジョンブラッド」と記載されているルビーはミャンマー産のルビーである事。且つ一定のカラーのものに限定されています。しかし、海外で発行された鑑別書には日本での鑑別の条件は適応されていないので、日本国外で発行された鑑別所の場合は記載されている産地の確認が必要です。その他にも、成分中に二酸化チタンの針状結晶が混ざり、反射光が星状に見えるものは「スタールビー」と呼ばれ評価が更に高くなるものもあります。
サファイアの概要と価値
サファイアは、ルビーと同じコランダムという鉱物からできている宝石です。クロムや鉄、チタンなどの含有割合により無色透明なコランダムが赤く変化したものをルビーと呼び、それ以外のものがサファイアと呼ばれているのです。そのため、サファイアの色はさまざまです。透明な青色が美しいブルーサファイアをはじめ、ルビーの赤色が薄くなったピンクサファイア、このほかにもイエローサファイア・バイオレットサファイアなどもあります。カラーバリエーションが豊富なのがサファイアの魅力とも言えるでしょう。中でもブルーサファイアは、「伝説の石」という異名をとることからもわかるように、評価が非常に高い宝石です
エメラルドの概要と価値
エメラルドは、ベリル(緑柱石)という鉱物からできている宝石です。グリーンの美しいカラーが特徴で、古くからジュエリーとして用いられてきました。評価基準としては、大きさや傷の少なさ、明るく濃いグリーンが最上級とされており、市場でも高い評価がつけられ取引されています。中でも「キャッツアイ」と呼ばれる、石の中で猫の目の様な反射光を放っているものはスタールビー同様に希少性が高いため、ことさら高い評価になります。
アレキサンドライトの概要と価値
アレキサンドライトは、クリソベリルという鉱物のうち、変色性を示す珍しい変種のことを指します。日光の元では緑色に、灯りの元では赤色に見える不思議な宝石です。その特性から「昼はエメラルド・夜はルビー」と評されることも。上質の石は非常に少ないため、高い価値がつきます。中でもロシア産のアレキサンドライトは、変色効果が高く、その希少性から高額で取引されています。
その他の価値が高い宝石
上記の五大宝石以外にも、価値の高い宝石があります。
真珠の概要と価値
真珠とは貝からとれる宝石です。貝の種類によってとれる真珠の種類が異なり、さまざまな種類があります。女性らしさを引き出す品のある宝石で「神の涙」とも呼ばれています。結婚式やお葬式など冠婚葬祭で身に付けられる宝石としても知られています。
真珠の品質は「巻き・色・形・光沢・キズ・サイズ・連相」の7項目によって決定します。そのほか各企業が定めた独自の評価基準もあり、高い評価を得る真珠は「花珠(はなだま)真珠」と呼ばれることも。花珠真珠の評価を得る真珠は全体のほんの少しで、市場で高額で取引されます。
翡翠の概要と価値
翡翠は東洋では不老不死やまじないの力があると信じられていた宝石です。金よりも貴重な宝石として扱われていたこともあります。翡翠は中国で玉(ぎょく)と呼ばれ、位の高い人間が亡くなったときに薄い翡翠を張り合わせた玉衣(ぎょくい)を着て埋葬されるなど、宝石の中でも重要なものとして扱われていました。
現代でもジュエリーとして扱われる翡翠は非常に貴重です。透明感があり煌びやかに艶めく高品質な翡翠はごく一部で、高額で取引されています。
パライバトルマリンの概要と価値
パライバトルマリンは、1987年に発見された新しい宝石です。原産地はブラジルとアフリカの一部のみ。鮮やかなネオンブルーは他の宝石にはない独特の輝きを放ち、その美しさと希少性から高い価値がつけられています。
タンザナイトの概要と価値
タンザナイトは、ゾイサイトという鉱物の変種で、青紫色が特徴的な宝石です。産地はタンザニアのみ。タンザナイトという名前は、ジュエリーブランドのティファニーによって名付けられました。希少価値があるため高額で取引されることが多く、中でも色が濃くて彩度も高いものは良い値段がつきます。
ターフェアイトの概要と価値
ターフェアイトは、淡いピンクや藤色、濃い紫色や青紫色などがあり、希少な色として赤色のめずらしい宝石です。ターフェアイトは極めて希少性が高く、ジュエリーとして市場に流通することはほとんどなく、大抵は博物館やコレクションの為にカットされている程度と言われています。ターフェアイトは極めて希少性が高く、ジュエリーとして市場に流通することはほとんどなく、大抵は博物館やコレクションの為にカットされている程度と言われています。原産国はスリランカやタンザニアなど。状態の良いターフェアライトはダイヤモンドと同等もしくはそれ以上の価値がつけられています。
マスグラバイトの概要と価値
マスグラバイトは、ターフェアイトの一種です。カラーは透明、淡いピンク、淡い紫色などがあります。ターフェアイト自体が希少石ですが、マスグラバイトはターフェアイトの中から数十個に1つ見つかる程度といわれるほどの超希少石です。このことから宝石として加工できるグレードのものは稀にしか見つかりません。そのため、1カラット以上のマスグラバイトは非常に貴重で高額取引されています。
レッド・ベリルの概要と価値
レッドベリルは、ベリル(緑柱石)という鉱物からできる宝石です。ベリル系の石は不純物が混入することで変色するものが多くあり、エメラルドと同じ緑柱石であることから「赤いエメラルド」と呼ばれる事もあります。なお、含有物の種類・含有量の違いで色の違いが生み出され、そのうちマンガンという物質が混入して赤くなったものがレッドベリルと呼ばれています。原産地はアメリカ合衆国の一部の州のみ。更に、1カラットを超える大きさの石が採掘されるのは極めて稀で、採掘に掛かる費用を考慮すると採算が合わないため、現在はアメリカ合衆国にある全ての鉱山が閉山しております。産地が限定されているうえに現在では新規に採掘されていないことから希少性が高く、その価値は年々上昇しています。
なお、ロシアでは人工合成に成功しており、それらが市場に出回る事があるため、大きく無傷で質の良いカットを施された物は合成石である可能性が高いとされておりますので、入手される際には注意が必要です。
宝石の売却は専門店へ
お手持ちの宝石を売却したい方は、宝石専門買取店を利用することをおすすめします。今回ご紹介したように、宝石の評価は複合的で難しく、専門的な知識を要します。石の価値や希少性・コンディションを正確に鑑定できるのは、専門家のみと言えるでしょう。
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まとめ
美しい輝きで古代から人々を魅了してきた宝石。「相続で宝石を譲り受けた」「身につける機会のない宝石を持っている」という方は、ぜひ宝石専門買取業者に査定依頼をしてみてください。
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